内容説明
日本酒、醤油、味噌など、日本人の味覚をリードしてきた麹のルーツを辿り、日本の気候風土の中で稲作と共に育まれた麹菌のすぐれたはたらきの秘密をさぐる。醸造化学に携わった人々の足跡を追って、日本文化へのはかり知れない影響を説く。
目次
第1部 麹菌を育んだ日本(日本人の起源;稲作の起源―麹菌と相性の良い植物;古代社会と酒;中・近世の人と酒;昔からの調味料のながれ)
第2部 麹菌の科学技術と産業(近代化学を創出した三人の日本人化学者;安全な麹菌と発がん性アフラトキシンをつくるカビ;麹菌の生物学;麹菌醸造産業の思想;日本酒(清酒)の縊路打開―分子育種によるムレ香除去
博物学へのすすめ―新奇マンノシダーゼの展開
麹菌の新展開に向けて―生体物質からの発電への夢)
著者等紹介
一島英治[イチシマエイジ]
1934年生まれ。1957年東京農工大学農学部農芸化学科卒業。東北大学名誉教授・東京農工大学名誉教授。農学博士(東京大学)。専攻、酵素化学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
68
酒の10訓 礼をただし 労をいとひ 憂いをわすれ 鬱をひらき 気をめぐらし 病をだけ 毒を解し 人と親しみ 縁をむすび 人寿を延ぶ 万葉集の酒の歌があるなど、歴史を辿る。2012/07/22
kenitirokikuti
5
図書館にて。著者は酵素化学研究者。講談社ブルーバックス寄りの内容▲刊行年の2006年は日本醸造協会創立100周年だそうな。03年に麹菌のゲノム塩基配列が完了しており、麹菌の有性生殖の可能性があるそうな(→遺伝子組み換え麹菌で様々な蛋白質を大量生産できるかも)▲毒性あるアフラトキシン生産菌と食用の麹菌は近縁。遺伝子解析によると、食用麹菌にアフラトキシン生合成系の欠失が確認。これら安全な麹菌は列島で馴致されたもの。大陸や半島では穀物をブロック状にしてクモノスカビを使った餅麹を使う。…2021/09/22
Hiroyuki Nakajima
1
専門書で素人には難解ですが、日本酒は美肌効果が有るそうです、飲まない場合は酒粕取れば良いと思います❗2017/07/12
Mm
1
古代神代から続く麹の歴史。日本の風土に奇跡的にあって食を豊かにしてくれた。日本人が長寿なのも麹菌ごと食べる調味料のおかげだった。なぜ、古代の人は発がん性アフラトキシンを作らない麹菌を見分けることができたのだろうか。2015/09/12