出版社内容情報
「土蜘蛛」の呼称で畏怖される一方「クモ合戦」など子供の遊びとしても親しまれてきたクモと人間との長い交渉の歴史をその深層に溯って追究した異色のクモ文化論。
内容説明
土蜘蛛やクモ合戦で知られるクモと人間との長いかかわりの歴史をその深層に遡って追究した異色のクモ文化論。全国各地のクモにまつわる民俗と伝説、民話、俗信、方言を集成するとともに、クモの知られざる生態を探り、その魅力を語る。
目次
1 蜘蛛合戦の民俗誌(八本脚の虫;クモはお好きですか;クモは美しい;横浜のホンチ遊び―ババを飼う;ハエトリグモの決闘―ホンチの醍醐味 ほか)
2 土蜘蛛文化論(クモという言葉;諸橋『大漢和』に蜘蛛を覗く;銅鐸のクモ―弥生時代のクモと祈り;土蜘蛛論;『今昔物語集』・『古今著聞集』のクモ ほか)
著者等紹介
斎藤慎一郎[サイトウシンイチロウ]
著述家。1940年横浜生まれ。東京教育大学卒(芸術学)。日本蜘蛛学会、東京/中部/三重蜘蛛談話会、山村民俗の会、福井昆虫研究会、中池見湿地トラスト、国際泥炭学会、IMCG(国際湿原保護グループ)会員
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感想・レビュー
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ナハチガル
20
文化史というよりクモオタクによるうんちく本。特にハエトリグモを戦わせる「蜘蛛合戦」にページが割かれている。クモが嫌われ者であることについて、タラバガニが歩いていても誰も嫌がらないのはおかしいという意見には妙に納得。確かに巨大なイエグモがゆうゆうとそのへんを歩いていたら結構キモいし、食べて美味しいものだったら嫌われ者にはなっていなかっただろうとも思う。うちにも数年前までハエトリグモが住んでいたが、見なくなって久しい。水洗便所が増えてハエが減り、ハエもいなくなったという述懐には著者の寂しさがにじむ。B+。2025/02/22
tom
19
クモに関するウンチク本。著者の一番の関心は、クモの戦い。日本各地のクモ合戦を収集している。これは私も経験したこと。小学生のころ、ジョローグモ(ジョロウーグモとも言った)を何匹か捕まえてきて、戦わせる。二匹のクモの戦いは一瞬で終わるのだけど、なにやらすごく美しかった。夏の日の鮮明な記憶がある。著者も同じ体験をして、日本各地のクモ合戦を調べることに。クモの異名を調べる・・・、さらにクモに関する文献、伝承云々を調べて回る。こういう楽しみをひたすら走り続ける人がいるという驚きの本。2025/04/16