出版社内容情報
19世紀ドイツで近代教育学の出発点を築き、明治期以来日本の教育現場にも大きな影響を及ぼした哲学者J. F.ヘルバルト(1776?1841)。人格の陶冶を通じて人間の「完全性」を追求するその理念は近代国家の教育システム形成に寄与したが、そこには目的合理性の追求にとどまらない、「無限」や「崇高」を希求するダイナミックな思想があった。完全性概念のもつ歴史的意義を再提示する教育思想史研究の成果。
【目次】
凡例
序 論
第一節 本書の目的
第二節 先行研究の現状と課題
第三節 本書の考察方法
第四節 本書の構成
第一章 若きヘルバルトと「完全性」との出会い
第一節 「自由」と「完全性」
第二節 ヘルバルトの「超越論的自由論」批判
第三節 初期ヘルバルトの思想形成におけるドイツ講壇哲学の隠れた影響──「自由」への「完全性」
1.「超越論的自由論」批判とドイツ講壇哲学への批判的接近
2.家庭教師ユルツェンからの影響(一七八三年頃~一七八八年頃)
3.「永遠なる神の存在証明について」(一七八九年)
4.「人間の自由の理論に関するいくつかの事柄」(一七九〇年)とこれへの自己批判(一八〇〇年)
5.「国家において道徳性の成長と衰退をもたらす最も一般的な原因について」(一七九三年)
第二章 「完全性」と実践哲学
第一節 「道徳性」概念の「拡大」
第二節 ドイツ講壇哲学における「完全性」に基づく認識の階梯論
1.ライプニッツにおける認識の階梯論
2.ヴォルフにおける認識の階梯論
3.バウムガルテンにおける認識の階梯論
第三節 「道徳性」と「内的自由の理念」
第四節 「内的自由の理念」と「完全性の理念」
1.「完全性の理念」とは何か──「内的自由」に向かう「量」の「見積もり」
2.「完全性の理念」を構成する三つの指標──「内包性」・「外延性」・「統合」
3.「論理」と「美」の「分離」および「結合」
4.「完全性」と「無限」および「崇高」──「量」を超えて
第三章 「完全性」と教育学
第一節 ヘルバルト教育学における「完全性」
第二節 教育目的と「完全性」
1.教育の必然的な目的としての「道徳性」
2.教育の可能的な目的としての「多面的興味」
3.「道徳性」と「多面的興味」の「統一」──人間像としての「球体」と「完全性」
第三節 教育における「教授」と「完全性」
1.「教授」の論理学的諸相としての「分析的教授」と「総合的教授」
2.「教授」の心理学的諸相としての「明晰」・「連合」・



