出版社内容情報
論理学・自然哲学・精神哲学からなるヘーゲルの体系において、「生命」と「自然」との関係は複雑であり、かつ複合的である。さらに「生命概念」は、内容的には、法哲学、精神哲学や宗教哲学においても重要な役割を果たしており、ヘーゲルの体系のさまざまな部分に関わっている。本書はヨーロッパと東アジアの気鋭の研究者が、ヘーゲル哲学における「生命と自然」の諸相を描きだし、その意味を解明する。
内容説明
ヘーゲル哲学と格闘するアリーナ。論理学・自然哲学・精神哲学からなるヘーゲルの体系において、「生命」と「自然」との関係は複雑であり、かつ複合的である。さらに「生命概念」は、法哲学、精神哲学や宗教哲学でも重要な役割を果たしている。この諸相を解明すべく、ヨーロッパと東アジアの気鋭の研究者たちが思考をめぐらせる。
目次
第1部 自然(親和力―ヘーゲルの自然哲学と本質的な哲学的諸カテゴリー;ヘーゲル自然哲学における物質概念について―なぜ物質よりも先に空間と時間があるのか;牝牛に学ぶこと―ヘーゲルとともに、自然哲学と自然との付き合いの人倫によせて)
第2部 生命(正常な異常―ヘーゲルの有機体論における「死に至る病」;自然と精神のあいだの矛盾としての生命)
第3部 論理(ヘーゲル論理学における「生」の問題(改稿)
論理的生命概念の二面性―前概念的行為者性とその明確化
ヘーゲルの「ゴースト・イン・ザ・シェル」―死せるオブジェクトたちの不気味な生命/ヘーゲルの機械論論理のポスト・ヒューマン的読解
ヘーゲル倫理学における概念の種類関係と性差)
第4部 体系への道(「私たちの精神の連盟の時代」―フランクフルト‐ホンブルク・コンステラツィオンのキーコンセプトとしての「生」;『精神現象学』における真理と真理への道―実在論か観念論か)
第5部 精神(自然における生命としての言語;自然と契約を越えて―「人格性」に基づいたヘーゲルの所有権論;ヘーゲル宗教哲学における自然と生命の目的論的関係;ヘーゲルの宗教哲学における人間学的構想およびその問題系)
著者等紹介
大河内泰樹[オオコウチタイジュ]
1973年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。2007年哲学博士(ルール大学ボッフム)。専門は、ヘーゲルを中心とするドイツ古典哲学、批判理論
久冨峻介[クドミシュンスケ]
京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。京都大学人文学連携研究者。哲学・思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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