出版社内容情報
『純粋理性批判』の解釈を通じてカント批判哲学の基本構造を解明し,その現代的意義を確定する試み。〈超越論的〉概念の把握に正面から取り組んだ初の本格的研究。
目次
『純粋理性批判』研究の現状と課題
超越論的認識の構造
超越論的反省の地平
超越論的対象の問題
超越論的主観の問題
第4誤謬推論の意義
「無」に関するテーゼ―「無」の表への一考察
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
7
創造的なクリティークとか問題にならないザ・文献学。テクストから逸脱する多産な読解なんかじゃなくて堅実な文献研究を遂行する本書では、アレントやドゥルーズやピヒトといった有名どころの人気哲学者の固有名にまみれた俗な議論は、主軸にならない。ヒンスケ、アディッケス、アリソン、ハイムゼート、ペイトン等の専門的な議論から、超越論的対象Xや超越論的主観(もちろん物自体やコギトと完全にイコールではない)について緻密に解釈。物自体の意味すら多義的で、積極的・消極的意味が区別されるし、後者は更に細分化できるとは知らなかった。2014/11/22
Z
4
オリジナリティーうんぬんにいかない姿勢は非常に好感を持った。にしても取り上げる問題が専門家でないものにとって些末すぎるのと、全体像呈示するにいかないので、完全に学者向け。門外漢なのに手をとった私が悪いが、もうちょっとアバウトに議論してほしかった。2017/01/31
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