出版社内容情報
ラ・フォンテーヌ、モリエール、ルソー、プラトン、聖書など〈知の宝庫〉に分け入って、そこにちりばめられた〈パラジット〉(=パラサイト)なるキイ・ワードを巧みに読み解きつつ、この多面的な概念を人類学・生物学・免疫学・情報理論等を架橋する学際的操作子として鮮やかに蘇らせる。他者のそばで、他者のふところで生き延びる存在とは何
か。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
「寄生体のないシステムはない」と著者はいう。フランス語のparasiteは食客、寄生生物、雑音等の意味を持つ一方、宿主の歓待の姿勢も仄めかす。ここから著者は、従来のシステムにおける第3項排除の論理の可逆性を、排除される寄食者の論理から批判的に捉え直す。ラ・フォンテーヌ「都会のネズミと田舎のネズミ」の寓話に始まる本書は、寄食者の論理ではシステムは全てが関係の網の目の中にあり排除側の宿主こそ寄食者のネットワークの中で生み出される結び目であることを示す。不可逆的システムでの寄食者は常に新しいものを発明するのだ。2024/08/28