出版社内容情報
スペクタクルの支配する今日の社会で主体としての観客はいかにして可能か?『無知な教師』を発展させた、芸術と政治への先鋭な思考。スペクタクルの支配する今日の資本主義・民主主義社会で、主体としての「観客(スペクタトゥール)」はいかにして可能か? 知や権力による分断を越えて、誰もが平等かつ能動的な解放者であるために、イメージへの批判的思考がもちうる可能性を問う。『無知な教師』の主題をさらに深化させた、芸術と政治、現実とフィクションをめぐる最も先鋭な思考。E.シャレフ=ゲルツ論「イメージの作業」特別増補版。
解放された観客
批判的思想の災難
政治的芸術のパラドックス
許しがたいイメージ
物思いにふけるイメージ
補遺 イメージの作業
エステル・シャレフ=ゲルツ作品解説
訳者あとがき
ジャック・ランシエール[ランシエール,J.]
著・文・その他
梶田 裕[カジタ ユウ]
翻訳
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミスター
3
一言でいうと教師なんて殴っちゃえって本だと思った。それ自体悪いことではないと思う。むしろそういうガキの無根拠なちからを肯定したいと常日頃から思っている。例えば金井美恵子の『夜になっても遊び続けろ』でも、橋本治の『止めてくれるなおっかさん』にしてもそういう紅衛兵のガキ的無法者性を擁護したスローガンだった。しかしそれにひきかえランシエールの言っていることはちょっと大人し過ぎてどっちつかずの印象である。言うんならちゃんと言うべきだ。僕にはフランスの知識人の優等生的な思想としか読めなかった。2019/08/31