目次
序 想像力と物質
第1章 明るい水、春の水と流れる水 ナルシシスムの客観的条件、恋する水
第2章 深い水‐眠る水‐死んだ水 エドガー・ポーの夢想における“重い水”
第3章 カロン・コンプレックス オフィーリア・コンプレックス
第4章 複合的な水
第5章 母性的水と女性的水
第6章 純粋と浄化、水の倫理
第7章 淡水の優位
第8章 荒れる水
むすび 水のことば
著者等紹介
バシュラール,ガストン[バシュラール,ガストン] [Bachelard,Gaston]
1884‐1962。フランスのバール=シュル=オーブに生まれる。故郷の高等中学を卒業後、電報局職員などをしながら独学。ソルボンヌ大学で数学の学士号をとり、1919年から母校の物理・化学の教師となる。22年、哲学教授資格試験に合格。27年、学位論文『近似的認識試論』により文学博士となり、ディジョン大学文学部教授をつとめる。40年、ソルボンヌ大学で科学史・科学哲学の教授となる。61年に文学国家大賞受賞
及川馥[オイカワカオル]
1932年宮城県生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。フランス文学専攻。茨城大学名誉教授、前愛国学園大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いやしの本棚
15
人がオフィーリアに惹かれる理由は何なのか知りたくて積んでいた一冊。表層的な知識に汚されない物質的想像力がほんとうに働くとき、人間の内面で「水」が喚起するイマージュが有機的に繋がっていくという詩学(ざっくり)。この論考自体が一篇の美しい"詩"である。「魂にとっての死は水になること」(ヘラクレイトス断章)自分の中では死と水の印象がまず最初にあったけれど、読み終えた時には爽やかな水の声が聞こえるようだった。オフィーリアについて前半で、後半では”浄化する水”について語るなど、絶望から希望へと至る構成が素晴らしい。2020/08/10
呼戯人
9
ガストン・バシュラールによる物質的想像力の研究。それ自身が長大な詩のように美しい詩学。こんなに素晴らしい詩的イメージの研究は他にはない。2017/02/01
roughfractus02
7
ある対象(例:川)からイメージを膨らませる一般的な想像力を形式的想像力と呼ぶ著者は、一方でその素材(例:水)に遡行して火・土・水・空の四元素に至る想像力を物質的想像力と呼び、形式的想像力の対概念として芸術的想像力の元型とした。哲学の形相質料概念を想像力に援用した本書は、古今の詩人たちの諸作品に想像力の普遍的次元を与えようとする試みである。詩を夢に見立て、水という素材を精神分析にかける本書は(オフェーリア・コンプレックス等)、その終盤、イメージに方向性と動きを見出して、力動的想像力(例:水の流れ)を加える。2024/11/02
みかん
0
白鳥モチーフ……2017/04/07
396ay
0
★卒論用。オフィーリア系の文献の中でいちばん重要なものだとおもう。以下はメモ。2020/10/06