内容説明
人間の営みの柱をなす科学や道徳が理性に基づかないことを徹底的に示した書。刊行時には危険思想とされ激しい批判を浴びたが、250年以上を経た現在もなお、その哲学的意義を思考される古典中の古典。いま新たな日本語訳でよみがえる。
目次
第1部 観念、その起源、複合、抽象、結合等について(観念の起源について;主題の区分 ほか)
第2部 空間および時間の観念について(空間と時間の観念の無限分割の可能性について;空間と時間の無限分割の可能性について ほか)
第3部 知識と蓋然性について(知識について;蓋然性について、原因と結果の観念について ほか)
第4部 懐疑論的およびその他の哲学体系について(理性に関する懐疑論について;感覚能力に関する懐疑論について ほか)
著者等紹介
木曾好能[キソヨシノブ]
1937年大阪市に生まれる。京都大学文学部卒業。京都大学文学部教授。イギリス経験論哲学と現代分析哲学が専門。1994年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Dawn Gomatic
3
人間本性の諸原理を根本的で究極的に解明さえしてしまえば、戦争に例えるなら都市を落としたようなものである。他の諸学問および宗教さえもそれを足がかりにすれば解明は楽勝である。という考えは思い上がりで、人間は感覚に依存する存在で、認識能力に限りがあり、到底人間本性の原理には達し得ないという懐疑的な観点からの哲学書。読んでいて何度そっと閉じようとしたことか・・・。哲学に興味のある方はどうぞ。2014/02/25
鑑真@本の虫
2
図書館。 経験論哲学者ヒューム本人が著した人間本性の諸原理に関する哲学書で、彼の主著。 一巻にあたる今巻は、知性について解く。 彼が懐疑論に陥っていると言う由縁の一つだけあり、全体として"すべての事物はその根本を解明することで人間の理解が及ぶというのは思い上がりに過ぎず、我々は感覚(あるいは観念)に依存し、認識によってしか物事を理解することはできない"という主張。 イギリス経験論の完成者であることを裏付けるように、それを突き詰めた一冊である。 そう、ヒュームは我々は経験に生きる生物と断じるのである。2015/01/13