内容説明
中世は、古代的制度の全面的崩壊から必然化した“修羅世界”であり、祝祭と儀礼の時代であった。合戦闘諍の修羅場で、主従情念は社会的紐帯の基盤を形成し、親族関係は血讐・仇討の連鎖を生み、聖性を求めて師弟や信徒らは禅林や荒れ野に赴いた。修羅‐止観‐開悟という定位彷徨、“夢幻能”的道行を、軍記物語や復讐譚の修羅エクリチュールや詩歌、生活所作儀礼などから読み解いて、中世遊歩人のまなざしと思念、中世的“事件”の実相および死生の弁証法を透視する。『形而上の中世都市』姉妹編。
目次
序 中世的修羅と生活所作の儀礼化
第1章 主従情念の生成
第2章 合戦の情念型
第3章 仇討の情念型
第4章 開悟の情念型
第5章 家常茶飯の尽十方界―中世的定位コスモロジーの実相
結び 死生の弁証法―その記号的根拠
著者等紹介
前野佳彦[マエノヨシヒコ]
1953年福岡県生まれ。74年東京大学法学部中退、79年同大学院人文科学研究科修士課程修了、80~84年シュトゥットガルト大学・ロンドン大学付属ワールブルク研究所に留学。84年シュトゥットガルト大学哲学部博士学位(Dr.phil.)取得。現在、“文化記号塾”主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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