内容説明
崇高なものへの感受性や、精神を揺るがす畏怖の体験を、哲学はどう探究してきたか。バークとカントの「崇高と美」概念を中心に、ハイデガー、ウィトゲンシュタインの「驚異と崇高」の考察、アドルノ、リオタール、ナンシー、スピヴァク、ラクー=ラバルト、イーグルトンらに至る崇高論の展開を検討するとともに、現代における崇高の意義・批判的機能と、その拡散・喪失およびイデオロギー化との緊張関係を考察する。驚異と崇高の概念を軸に、人間の全体的理解、「情感豊かな理性」の可能性を問う。
目次
序論 崇高論の今日的意義
第1章 崇高の哲学と理性批判
第2章 批判哲学と崇高のイデオロギー
第3章 驚異と崇高―ウィトゲンシュタインとハイデガー
第4章 近代崇高論の地平
結論―情感豊かな理性の構築のために
著者等紹介
牧野英二[マキノエイジ]
1948年8月9日生まれ。法政大学文学部教授(文学博士)。日本カント協会会長・日本ディルタイ協会代表理事。主専攻:哲学・倫理学・感性学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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