出版社内容情報
ワーグナーやアドルノら,楽・思一如の世界を探索して,一筋縄でゆかぬ作品,近寄り難いテクストと執拗な対話を繰り返し,異質なものの間ま響き合いに耳を澄ます。
内容説明
「ワーグナーに近づこうとする者は、相手が一筋縄では行かない難物であることを肝に銘じてかかららねばならない」―バイロイト時代のワーグナーは、ショーペンハウアーの影響下に、人類の退廃および再生を論じ、共苦の思想を表明する一方、アーリア主義やインド熱などにも身を委ねた。ワーグナー晩年の、熟成と隣り合う矛盾・陥穽を深く読み取るとともに、アドルノという難物にも、そのテルミノロギー(用語)から理解の道筋をつけようと試みる。著者の、芸術と哲学のテクスト読解の熟成を示し、新たな精神的境地を拓く。
目次
アドルノ再読―ワーグナーと小林秀雄をめぐって
ミメーシス―アドルノのキイ概念をめぐって
非凡な思想家の誕生のドラマ
ハイデガーの覇権に挑戦
ベートーヴェンとヘーゲルを通底するもの
『不協和音』
ワーグナー受容の現在―反ワーグナーの系譜を踏まえて
十九世紀を代表する芸術家
エピファニー―神威の一撃
ヴェルズングの物語―『ヴァルキューレ』第一幕を中心に〔ほか〕
著者等紹介
三光長治[サンコウナガハル]
1958年広島県に生まれる。52年京都大学文学部独文科卒業。愛知大学講師、神戸大学助教授、埼玉大学教授、神戸松陰女子学院大学教授を歴任
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