叢書・ウニベルシタス<br> 人間の美的教育について (新装版)

叢書・ウニベルシタス
人間の美的教育について (新装版)

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  • サイズ B6判/ページ数 187p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784588099342
  • NDC分類 701.1
  • Cコード C1310

内容説明

カントが芸術の国を、人間の意志を自然の法則に従わしめる現象世界と人間の自由意思が支配する道徳的世界とを連絡する関節として設定したように、著書は美的文化の橋を設置して、これを渡ることによって自然国家から自由国家へ到達しようと考えてみた。彼のこの「自由国家」は、人々が至福な安楽のうちにあって道徳的健康を保持することができ、各人がその人格の自由な姿を展開できる社会でなければならなかった。…本書は、そうした彼の哲学思想の集大成と清算を意味すると同時に、またカント哲学の帰結と決裁を意味するものである。

目次

私は美の問題をひとりの人の前に提出するわけです
私は別な世紀の中で生きていたいとは思いませんし、他の世紀のために働きたくもありません
大切な点は、まわっている歯車をその回転中に取り替えることです
人間は自分自身と二重の方法で対立しています。
人間退廃の二つの極端が、二ついっしょに一つの時期に集合しています
文化自体が新しい人間に傷を負わせるものを持っていたのです
時代の性格はまず第一にその深刻な品位喪失から立ち上がらねばなりません
賢くあるために、大胆であれ
君の世紀とともに生き給え、しかしその産物であってはならない
いっさいは、美によって引き戻されねばなりません〔ほか〕

著者等紹介

シラー,フリードリヒ・フォン[シラー,フリードリヒフォン][Schiller,Friedlich von]
1759‐1805。ドイツ・マルバッハ生まれの詩人・劇作家。陸軍士官学校で法学と医学を学び、軍医となる。当時の「シュトゥルム・ウント・ドラング」の時代の潮流のなかで処女作『群盗』(1781)を仕上げ好評を得、その後再び軍隊には戻らなかった。マンハイム、ドレスデンなどに住居を移し、1788年にイェーナ大学の歴史学教授となる。天性の劇作家とも評され、歴史を背景に己れの思想を織り込んだ数多くの作品を書き、代表作には上記の『群盗』のほか『ドン・カルロス』(87)、『ヴァレンシュタイン三部作』(98‐99)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

tieckP(ティークP)

5
シラーの美学だけれど、散文読みの自分にはなかなかつらい。とりあえず、この本の理論がカントにほとんど準拠しているのは確かで、かつどこかヘーゲルを先取りしたような弁証法に美を据えている。いろいろな読み方があると思うけれど、この本自体を崇めて読むよりは、たとえば読もうと思っている難しい本(カントの『判断力批判』)の感想を探していて見つけた、頭の切れるブロガーの長文感想みたいな気持ちで読んだ方がいいかもしれない。筋が通っていないところや繰り返しもあるけど、何となく分かってくるし、カントも少し分かってくる。2013/12/14

またの名

3
カントヲタの詩人による美学論。もろカント哲学の応用。特に『判断力批判』にある、理性と感性とを宥和させる美的契機という図式にのっとって相反する前二者を総合する。両者のそれぞれに欠点があって実現できないことが美において達成される、と。美において最も効果的なものは遊戯であり仮象であるとする結論は、ニーチェがディオニュソス原理に対置して批判することになる立場。いわゆるアポロン原理にシラーは与する。カント哲学の補助教材とかニーチェとの比較研究にはたぶん必需なのかな?という感じで、エクスタシーが得られる書物ではない。2013/03/04

泉のエクセリオン

2
シラーは自身のシュトルム・ウント・ドラング的な衝動を中和するためにカント哲学に親しんだいう説がある。ただ本書は用語の規定がよくわからない。例えば「素材」「形式」「物質的」等。ただ言いたいことは、人間は感性的な人間でも、理性的な人間でもなく、その中間の美的人間を双方の領分を犯すことなく、芸術を通じて目指すべきである。またその美的人間こそが、完全なる内なる自由を胸に宿すことが出来る。ゲーテが「シラーは晩年外的自由よりも内面的自由を求めていた」と言っていたので、この本はシラーの内面的自由の欲求の結晶かなと思う。2016/02/20

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