内容説明
カントが芸術の国を、人間の意志を自然の法則に従わしめる現象世界と人間の自由意思が支配する道徳的世界とを連絡する関節として設定したように、著書は美的文化の橋を設置して、これを渡ることによって自然国家から自由国家へ到達しようと考えてみた。彼のこの「自由国家」は、人々が至福な安楽のうちにあって道徳的健康を保持することができ、各人がその人格の自由な姿を展開できる社会でなければならなかった。…本書は、そうした彼の哲学思想の集大成と清算を意味すると同時に、またカント哲学の帰結と決裁を意味するものである。
目次
私は美の問題をひとりの人の前に提出するわけです
私は別な世紀の中で生きていたいとは思いませんし、他の世紀のために働きたくもありません
大切な点は、まわっている歯車をその回転中に取り替えることです
人間は自分自身と二重の方法で対立しています。
人間退廃の二つの極端が、二ついっしょに一つの時期に集合しています
文化自体が新しい人間に傷を負わせるものを持っていたのです
時代の性格はまず第一にその深刻な品位喪失から立ち上がらねばなりません
賢くあるために、大胆であれ
君の世紀とともに生き給え、しかしその産物であってはならない
いっさいは、美によって引き戻されねばなりません〔ほか〕
著者等紹介
シラー,フリードリヒ・フォン[シラー,フリードリヒフォン][Schiller,Friedlich von]
1759‐1805。ドイツ・マルバッハ生まれの詩人・劇作家。陸軍士官学校で法学と医学を学び、軍医となる。当時の「シュトゥルム・ウント・ドラング」の時代の潮流のなかで処女作『群盗』(1781)を仕上げ好評を得、その後再び軍隊には戻らなかった。マンハイム、ドレスデンなどに住居を移し、1788年にイェーナ大学の歴史学教授となる。天性の劇作家とも評され、歴史を背景に己れの思想を織り込んだ数多くの作品を書き、代表作には上記の『群盗』のほか『ドン・カルロス』(87)、『ヴァレンシュタイン三部作』(98‐99)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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