- ホーム
- > 和書
- > 人文
- > 哲学・思想
- > 構造主義・ポスト構造主義
内容説明
古来から現在までさまざまなかたちで出現する戦争について、現在フランスで活躍する最も高名な哲学者が自身の記憶を辿り、自伝的な逸話とともに、暴力、抗争、テロリズム、法とその起源の問題を論じる。
目次
序章
第1章 乱闘
第2章 大洪水
第3章 戦争
第4章 戦争からテロリズムへ
第5章 世界戦争
第6章 “世界”の方舟
第7章 再び乗船
著者等紹介
セール,ミシェル[セール,ミシェル] [Serres,Michel]
1930年フランス南西部のアジャンに生まれる。海軍兵学校、高等師範学校を卒業。数学、文学、哲学の学位を取得。58年からクレルモン=フェランの文学部で教鞭をとり、ライプニッツ研究で文学博士となる。69年からパリ第1大学教授として科学史講座を担当。数学、物理学、生物学の研究に加え人類学、宗教学、文学などの人間諸科学に通暁する百科全書的哲学者としてフランス思想界の重要な一翼を担い、科学的認識と詩学とを統一的な視野に収め、西欧的思想の限界に挑む。90年からアカデミー・フランセーズ会員
秋枝茂夫[アキエダシゲオ]
1931年生る。54年早稲田大学文学部卒業。64‐67年ベルギー政府留学生としてルーヴァン大学高等哲学院に学ぶ。68年早稲田大学大学院博士課程修了。横浜市立大学教授を経て、同大学名誉教授。ベルギー国王冠勲章オフィシエ章佩綬(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
9
ミシェル・セールを読むのは初めてのようだ。なんなんだこれは、最初の方は、ああ戦争の話をしているんだなと理解できた。セールが経験したスペイン独立戦争の難民、第二次大戦とその後の混乱の語りは臨場感たっぷりで「殺してはならない」という当たり前過ぎて忘れてしまう格率へと集約されていく。コルネイユの『オラース』の三人の若者による代表戦の話から、戦争とはそもそも暴力を制限するものだという話になる。ところが後半では、現代は二項対立としての戦争が終わり、人々対世界という「世界戦争」とも呼ぶべき三者対立だと。散文詩だな。2015/09/14
roughfractus02
8
戦争概念を古代から辿る本書は、古代と異なり現代の戦争が地球自体に無差別テロを起こし、人類が自殺する傾向に進んでいる点に読者の注意を促す。その際世界を「方舟」に譬える著者は、「世界」を作る知を人間が住む陸地をモデルに条里化した地図の拡張(『アトラス』の増殖と包含の2概念)と解釈し、平滑的な位相空間としての地球=海と区別する。条里化する世界が排除される偶発性や不確実性をもたらすこの位相が、意味で条里化した散文に慣れた読者に海に浮かぶ「方舟」の揺れとして体感させる本書は、古代戦争詩を思わせる詩的文体で綴られる。2024/09/14
Mealla0v0
1
戦争は法システムであり、その破れがテロリズムである――これが骨子である。だが、そう語るのに対し、その語りはあまりにも助長であった。流し読みで済ませて構わないだろう。▼ところで、本書の訳出は、原文を見ていないから何とも言えぬのだが、非常にきれいなものであり、読みやすい。2017/01/18
yukibon
1
風の谷のナウシカみたいな本。世界戦争というより、世界に対する戦争。2016/08/25