叢書・ウニベルシタス
根源悪の系譜―カントからアーレントまで

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  • サイズ B6判/ページ数 430,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784588009877
  • NDC分類 158
  • Cコード C1310

内容説明

二十世紀の歴史に癒しえぬ傷を残した数々の大量虐殺のあとで、哲学は「悪」をどう語りうるのか。カントが創出した「根源悪」の概念を軸に、人間が罪悪を犯す可能性や必然性を熟考した思想家の系譜―ヘーゲル、シェリング、ニーチェ、フロイト、レヴィナス、ヨーナス、アーレント―を鋭く一望する。弁神論による「悪」の正当化が困難な今日、倫理の根源を問い質す碩学の労作。

目次

第1部 悪、意志、自由(根源悪―自分自身と戦うカント;ヘーゲル―“精神”の治癒?;シェリング―悪の形而上学)
第2部 悪の道徳心理学(ニーチェ―善悪の彼岸;フロイト―根絶不可能な悪と両価性)
第3部 アウシュヴィッツ以後(レヴィナス―悪と弁神論の誘惑;ヨーナス―新しい責任の倫理;アーレント―根源悪と悪の陳腐さ)

著者等紹介

バーンスタイン,リチャード・J.[バーンスタイン,リチャードJ.][Bernstein,Richard J.]
1932年生まれ。ペンシルヴァニア大学、マサチューセッツ工科大学などを経て現在はニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチに所属。主としてプラグマティズムを研究するが、ヨーロッパ大陸の哲学にも造詣が深い。今は亡きリチャード・ローティの思想的盟友としても知られる

阿部ふく子[アベフクコ]
1981年生まれ。日本学術振興会特別研究員(新潟大学)

後藤正英[ゴトウマサヒデ]
1974年生まれ。佐賀大学准教授

齋藤直樹[サイトウナオキ]
1970年生まれ。盛岡大学准教授

菅原潤[スガワラジュン]
1963年生まれ。長崎大学大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ラウリスタ~

11
根源悪というのはカントの用語らしい。カントから始まり、ヘーゲル、シェリング、ニーチェ、フロイト、レヴィナス、ヨーナスそしてアーレントの「悪」について。アーレントはアイヒマンを「免罪」したなどと非難されたが、そのアイヒマンは、カントを駆使して自分は社会の歯車に過ぎず罪がないことを示した。罪はどこにあるのか。ラスボス的悪ではない、卑小な官僚的真面目さが、20世紀最大の悲劇を生んだ。2015/04/12

Nemorální lid

5
『悪という語で言わんとすることの概念的理解』(p.14)を目的とした、カントからアーレントに至るまでの諸々の思想を哲学的検討の観点から悪を見出す当著は『悪への問い質しは進行中の、終わりのないプロセスである』(p.356)と議論付けている。『われわれの説明にはつねに間隙が、すなわち「ブラック・ホール」が存在する』(p.372)以上、己の選択意思を完全に根拠付けるのは不可能である。世界をそう言った"善"と"悪"とに二分する『世俗的マニ教』(p.7)の容易さは、こうした空白を隠して論じることにあるのだと思う。2019/01/16

飴玉

3
シェリングとアーレントの項のみ。2018/01/07

砂糖 翠

1
アウグスティヌス的な命法や弁神論における善悪と意思という筋で読むとかなりすっきり読めた。2部まではかなり濃い分析だったが、3部以降は少し駆け足になってしまったように見えて残念。ただヨナスの有限な神の話は面白かった2017/08/01

抹茶ケーキ

1
根源悪についてというよりも、悪の思想史みたいな内容。これまで悪について哲学者はどういう風に語ってきたかを知るための本としては面白い。悪に本質はなく、ある人がなぜ悪に向かうかは不可知との結論。その結論を出すのにどうして哲学的考察が必要なのか釈然としない。2015/12/27

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