内容説明
暗い時代のヨーロッパで、不幸に苦悶する人間の魂のうちに光り輝く神の愛を求めたヴェイユ。現代のキリスト教的プラトニストとして比類なき存在である彼女が、ソクラテス以前の哲学者たちやピタゴラス派の幾何学的伝統、悲劇詩人たち、そしてプラトンにいたるギリシアの神話的“ロゴス”のうちに、キリスト教に共通する神の恩寵を見出す最晩年の思索の結晶。初の全訳・単行本化。
目次
神が降りてくること(神による人間の探索;神と人間が承認し合うこと)
恩寵の働き(『アガメムノン』註解)
創造における神の愛(『ティマイオス』註解;『饗宴』註解;『国家』註解;『縛られたプロメテウス』註解)
ピタゴラス派の学説について
ギリシア科学史素描
著者等紹介
ヴェイユ,シモーヌ[ヴェイユ,シモーヌ][Weil,Simone]
1909年、パリに生まれ、43年、英・アシュフォードで没する。ユダヤ系フランス人の哲学者・神秘家。アランに学び、高等師範学校卒業後、高等学校(リセ)の哲学教師として働く一方、労働運動に深く関与しその省察を著す。二度転任。34‐35年、「個人的な研究休暇」と称した一女工として工場で働く「工場生活の経験」をする。三度目の転任。36年、スペイン市民戦争に参加し炊事場で火傷を負う。40‐42年、マルセイユ滞在中に夥しい草稿を著す
今村純子[イマムラジュンコ]
1967年、東京に生まれる。シモーヌ・ヴェイユのイメージ思考を軸に、美学・倫理学・表象文化論など領域横断的な活動をしている。現在、女子美術大学・武蔵野美術大学・慶應義塾大学・筑波大学非常勤講師および一橋大学大学院言語社会研究科特別研究員。1998年、東京大学大学院人文社会系研究科博士前期課程修了。2003年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得。哲学DEA(ポワチエ大学)、学術博士(一橋大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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