内容説明
冷戦下、資本主義と社会主義、西側世界と旧植民地世界、高級文化と下位文化のあいだの「アイデンティティの政治」が、すべての知識人・大衆を呑み込んだ20世紀後半。批判理論やポスト構造主義以降の文化史、社会史、ジェンダー論、文化研究等の思想は、どのような眼差しで近代(後の)世界を読み解いてきたのか。米国の気鋭の批評家が、しなやかな論理と機知で思想の「現在」を捉えたエッセー集。
目次
理論を奉じて
ヨーロッパ思想史と多文化主義という亡霊
経験の歌―日常史をめぐる論争
主体なき経験―ヴァルター・ベンヤミンと小説
限界‐経験の諸限界―バタイユとフーコー
ソヴィエト連合に権力をあたえるな
クリスタ・ヴォルフなんか恐くない―文化を転倒する力学について
ポストモダンのファシズムか?―抑圧されたものの回帰について
教育者たちを教育する
美学のアリバイ
ミメーシスとミメーシス論―アドルノとラクー=ラバイト
パフォーマンス・アーティストとしてのアカデミズムの女性
力ずくで抑えられたアブジェクシオン
無気味な一九九〇年代
心理主義という幽霊とモダニズム
モダンのペイガニズムとポストモダンのペイガニズム―ピーター・ゲイとジャン=フランソワ・リオタール
ガヴリロ・プリンツィプの手枷
著者等紹介
ジェイ,マーティン[ジェイ,マーティン][Jay,Martin]
1944年生まれ。1977年ハーヴァード大学哲学博士(歴史学)。以来、カリフォルニア大学バークレー校でヨーロッパ思想史を担当。現在は同校教授。「フランクフルト学派」の「批判理論」の思想史的領野をアメリカからの視座で分析する研究を開始。のち、ヨーロッパ(とくにフランス)20世紀思想を「視覚の名誉剥奪」の契機から読み解く思想史的分析などに研究対象を広げている
浅野敏夫[アサノトシオ]
1947年生まれ。茨城大学文理学部英文学科卒業。現在茨城キリスト教大学教授。現代アメリカ文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。