内容説明
ゲノムの解読、遺伝子操作、クローン技術、核開発等によって、人類はいま、創造と絶滅にかかわる全能性を手にしつつあり、新たな歴史を開始している。哲学の古い概念を再検討し、新時代の哲学をhominescence(人類再生)として提唱する。
目次
もろもろの死
身体(われわれの身体はどのように変わったのか;人類再生hominescenceの最初の環 ほか)
世界(現代の最も大きな出来事;古い共同の家と、新しい共同の家 ほか)
他者たち(コミュニケーションという出来事;現代の人間 ほか)
平和(歴史への移行;日付の記入 ほか)
著者等紹介
セール,ミッシェル[セール,ミッシェル][Serres,Michel]
1930年フランス南西部アジャンに生まれる。海軍兵学校、高等師範学校を卒業。数学、文学、哲学の学位を取得。1958年からクレルモン=フェランの文学部で10年間教鞭をとり、ライプニッツ研究で文学博士となる。1969年からパリ第一大学教授として科学史講座を担当。数学、物理学、生物学の研究の上に人類学、宗教学、文学等の人間諸科学に通暁する百科全書的哲学者としてフランス思想界の重要な一翼を担う。科学的認識と詩学とを統一的な視野に収め、西洋的思考の限界に挑む
米山親能[ヨネヤマチカヨシ]
1944年生。東北大学大学院修士課程修了。東北大学教授。フランス文学・フランス思想専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
6
20世紀は科学技術の進展で平均寿命が伸びIT技術が世界を覆ったが、著者は農業人口は数%まで激減した点に注目し「農業の終焉」と呼んだ。農業は目的なき合目的性(自然)から合目的性(モノとして自然を所有)に変換する行為である。この行為の発明は文字に記録し暦を作り印刷技術からコンピュータまで続いてきた。その終焉は知を自然や生命を所有するための理解から生命として察知する行為に変えつつある。家畜化の際に言葉なく交流する動物たちを察知してきた人類は、IT技術の使い方によっては地球をビオゾームに変えうると著者は主張する。2024/09/11
メルセ・ひすい
2
8-29 赤88 核爆弾の認識、特に鋭い!コミュニケーションが無ければ生命も社会も自我もない。誰?なのか グロバリゼーションの中で誰が神か、誰がテクノロジーを手中にしているのか・①メディアが第一分類 ②司法と行政 ③科学・・・ゲノムの解読、遺伝子操作、核開発などによって、人類は今、創造と絶滅に関わる全能性を手にしつつあり、新たな歴史を開始している。哲学の古い概念を再検討し、新時代の哲学をhominesenceとして提唱。2010/04/03