出版社内容情報
形而上学をその問いの迫真性に即して再検討すべく,フッサール,ハイデガーにヘーゲルを加えた現象学的伝統を読み直し,現象学の概念の現在における妥当性を探る。
内容説明
ヘーゲル、フッサール、ハイデガー。資料と遺物と化した現象学を排して現象学の概念の現在における妥当性をさぐる。
目次
1 ヘーゲル(ヘーゲルにおける現象学と論理学;『精神の現象学』における「理性」;現象なき現象学)
2 フッサール(フッサールにおける現象学の理念;現象学―自然的意識と技術的世界;身体と時間構成の問題)
3 ハイデガー(存在者と現象;現象学の理念と還元の問題性;ギリシア世界への通路としての現象学)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひばりん
10
ヘーゲル・フッサール・ハイデガーという3人の現象学者についての論文集。興味深いのはマリオンによるハイデガー論か。1927年と1929年の間に起きたハイデガーの変調を「濃縮ウランに頼った核分裂から、あらゆる素材に生じうる核融合への移行」という比喩で表現している。なるほど、フッサールの数学性と対比していえばハイデガーは物理学・・・しかも核物理学的な人なのかも。不安の外部から存在が到来するのではなく、不安じたいの作品化(=核実験)が存在開示(=新元素を合成発見)する。核融合=フュージョン系としてのハイデガー。2021/10/12