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出版社内容情報
トポロジー,熱力学,情報理論など,混沌として揺らぐ知の界域を横断して古典主義以来の不動の諸体系の解体をはかり,産業革命以降の諸思想を熱力学モデルで解読。
内容説明
トポロジー、熱力学、情報理論など、混沌として揺らぐ知の界域を横断して古典主義以来の不動の諸体系―実体・主体・神、等々―の解体をはかり、産業革命以降の諸思想を、貯蔵庫‐差異‐循環という熱力学モデルによって読み解く。〈ヘルメス〉シリーズ第4巻。
目次
雲―点、面(網目)、雲
嵐―原動機、(付)後退
小川―狼、鳩、娘の指し手
カオス―永却回帰
分子―ボルツマンとベルクソン
混合―スープ、嵐、女
腐敗―『アンチクリスト』―感覚と概念の化学
襤褸―言説と行程
群衆、市、荒野―スペクトル分析
暗騒音―言語の起源
航海―船位推算
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひばりん
11
嵐である。冒頭、「ヘルメスは十字路とインターチェンジを棄てて、喧騒を選んだ」と脱ライプニッツを高らかに宣言する。セールが語るのは「熱力学」の哲学であり、液体や気体の哲学であり、構造以前の思考である。ベルクソンが当時の熱力学の用語系に影響を受けていること。地動説で否定された文化のナルシシズムが、太陽系状構造の模倣(電子・銀河・永劫回帰etc.)という形で繰り返されること。海流とアメリカの誕生。ニーチェと腐敗=発酵。これらを総括して「分布distribution」の概念の下に語る。海の男セールの船出である。2021/10/20
roughfractus02
6
論理学的な普遍性から力学的可逆性を経て熱力学的不可逆性へとシステム概念に時間が導入される歴史を辿る本書は、システムから排除される雑音、デモン、カオスと様々な名をつけられた第3項も、歴史の中でそのつど姿を変えた点を強調する。不可逆的時間を含むシステムと第3項の対立関係が生成関係に転換した20世紀以降、カオス的なものは理性や秩序を生じさせ、認識を可能にする成立条件となった。本書は、第3項をバックグラウンドノイズ(「暗雑音」)とし、熱力学エントロピーを「翻訳」した情報理論に沿ってカオス的なものの記述を更新する。2024/08/25