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出版社内容情報
核兵器に象徴される科学と権力の問題,都市と農村の問題,絵画と知との関係など,現代の諸問題への関心を自在に表明し,地球環境論への巨視的アプローチを試みる。
内容説明
科学の動向と哲学との関係を論じ、絵画と同時代の知との対応を語り、書物の解読を通じて現醍の諸問題へのアプローチを試みるなど、科学・哲学・芸術を一望の下に収める広大なテキスト空間において、自在に知の変換=翻訳を試みる。〈ヘルメス〉シリーズの第3弾。
目次
1 科学(樹木の翻訳;生命、情報、第2法則;裏切り―死の支配)
2 哲学(デカルトを静力学の用語に翻訳すると―円;ライプニッツを数学用語に再翻訳すると;オーギュスト・コントを百科学に自己翻訳すると)
3 絵画(神々の食物と金;ラ・トゥールはパスカルを翻訳する;ターナーはカルノーを翻訳する)
4 地球(ルマンとフォークナーは聖書を翻訳する)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひばりん
11
セールの「ヘルメス」第3巻である。事物の認識を四つに区分して「deduction演繹」「induction帰納」「production生産」「traduction翻訳」としている。いずれもDuction(運搬)を語幹としているが、さらに認識より以前の愛としか言いようのない次元に「seduction誘惑」を置く。誘惑概念の導入は、ボードリヤールより早そうだ(本書の原著が1974年、ボードリヤールの誘惑概念がおよそ1977年頃から)。また「樹木」が少しずつ哲学的思考の俎上に上げられはじめる。2021/10/14
roughfractus02
7
原題はHermès III,la traduction。「翻訳」を他の3つのduction(運搬/単眼運動)、演繹、帰納、生産と共にノード(節点)とエッジ(枝)から事物の認識を捉えるための要素に加える著者は、樹木の翻訳から始める本書で科学と芸術を超えて(tra-)運ぶ(duction)動きをversion(両眼運動)化する一方、身体において形成された認識が、眼を通して事物と関係すると錯誤する認識の偏りに注意を促す。モノーとジャコブを論じる著者は、認識を生む生命自体が偶然の擾乱から運ばれてきた点を強調する。2024/08/21