出版社内容情報
ゾラの大作『ルーゴン = マッカール叢書』の内包する基本構造を広範な歴史的・社会的コンテクストにおいて読み解き,19世紀科学と自然主義文学との同一性を語る。
内容説明
ゾラの大作『ルーゴン・マッカール叢書』の内包する基本構造を広範な歴史的・社会的コンテクストにおいて読み解き、物語の源泉としての同時代の科学―熱力学とトポロジー、火、モーター、循環―を語りつつ文学・科学・神話を横断する新たな批評の領野をひらく。
目次
第1部 局所論(図式;モーターと循環;ゲーム)
第2部 全体論(ゲーム、図式、モーターおよび循環)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
ヴェルヌに夢の科学を見た著者はゾラに夢の中にある神話世界を見る。時間直線と平面を世界に敷き詰める近代に沿って進化論と家系図で進むルーゴン・マッカール叢書全巻に、著者は循環する神話世界の乱舞を見出す。19世紀消費社会が舞台の20巻の小説群を2部に分ける本書が、18の作品に循環する局所論的神話要素を(モーターと循環)、『パスカル博士』と『獣人』に全体論的循環世界を見る(モーターおよび循環)と、世界は循環する貨幣も連言的(と、および)世界の乱舞であり、選言(または)も述語化(ゆえに)もないトポロジー空間となる。2024/08/24