出版社内容情報
相互準拠にもとづく諸科学間の新たな関係=現代百科学の可能性を多角的に探求し,ライプニッツの理想を現代に蘇らせる試み。綜合的な科学的精神の出発を告げる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひばりん
8
準拠-参照(reference)を干渉(intereference)の概念に置き換えること、つまり準拠する側とされる側の区別を排して、相互参照だけが可能な論理空間を構築する本。セール自身が繰り返し述べるように、これは人文学の位相空間化であり(位相空間論が現代数学における抽象化の始まりだといわれることを踏まえれば)哲学の抽象化の試みだ。シェーンベルクがバッハを研究したように、セールはライプニッツを抽象的に再記述する。そういえばシェーンベルクもセールも共にバルザックの形而上学を愛したひとだ。2021/10/09
roughfractus02
6
審査官を怒らせた副論文として書かれた本書を著者が振り返って若書きだと回顧するように、専門に引きこもる読者を想定し、批判する意図が垣間見える文体ではある。一方「ヘルメス」シリーズの2巻目として読むと、雑音や誤記等の第3項を排除して成り立つ専門域のコミュニケーション構造をグラフ理論を通して経験と観念の分離を再連携させた前巻を継いで排除の現場に降り立つ本巻は、各専門域のノイズを聞き取りつつ干渉の負のイメージを価値転換する。各専門域を干渉の相互参照する力で連関させようとする本書は、新たな知を開く可能性を語り出す。2024/08/20
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