出版社内容情報
人格心理学と史的唯物論の現状を検討,マルクス人間観の『要綱』段階を中心とする再吟味と独創的諸仮説の展開により,両者の接合,科学的人格理論の建設を目指す。
感想・レビュー
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ゆう。
16
著者はフランスのマルクス主義哲学者である。人格とは何かをマルクス主義から考察したものである。訳者あとがきで、本著はフランスマルクス主義の論争の中から生まれたと述べられており、そのためより難解な内容だった。今でも議論となるが初期マルクスと後期マルクスの諸理論が断絶しているのか、初期マルクスの疎外論こそ真正なのか、それとも継続しているのか、本著は断絶を認めながらも従来の断絶論の狭さを批判している。また人間本質の社会環境・文化の影響を認めている。しかし、それに還元されるものではないともいう。難解な書だった。2016/01/12