出版社内容情報
この未だ知られざる狂気と想像力に満ちた作家の,作品構成原理たるプロセデ(手法)を解き明かしつつ,迸り出る言語の奥底に隠された「言葉ともの」の関係を追求。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
29
かなり難解で、ほぼちんぷんかんぷんだった。 【「私はほとんどそっくりな二つの単語(略)を選んだものだ。たとえばbillardとpillardのような。そのあと、それに、まったく同じいくつかの単語、二つのちがった意味にとられた単語を付け加え、かくして私は2つの同一(そっくり)な文章を得るのだった」。】(本書。以下同じ。)/ 【語だけが可視なるものを事物の中に根づかせるのだ。(略)その能力とは、仮面を見せる能力、その単一な在りようを顕現する瞬間にそれを二分化する能力である。語が、いくら仮面の上に→2026/04/23
roughfractus02
9
ルーセルは言語の空白を描いた。短編では同音異義語を駆使して冒頭と末尾の文の意味を似て非なるものに二重化し、長編ではその手法を深く沈めて各所に謎を散りばめ、手法を探すよう読者に促すかに見える。『臨床医学の誕生』と同年(1963)に本書を上梓した著者はルーセルの謎を空白として示すこの手法から、見えるもの(可視性)が見えないものを要請し、両者が関係し合って言説が編成される点に注目した。ラング/パロールを基点とした言説の構造分析が駆使される本書だが、著者は後に見えないものが見えるものから作られる点に重心移動する。2024/12/15
兎乃
7
再読。2014/07/19
great reset
6
語が二重の意味を持つ事で事物の自己同一性は裂かれる。同じ単語の1つの意味で始まり、別の意味で終わるような円環状の文は強靭なフレームのようなものだ。そのフレームの内側に反復やずらし等の言語の自走力で組織化された空間を作る。AA.BB.CC..‥という文達は(A(B(C(‥)C)B)A.と ()で内に織り込まれる。()が1つ増える毎に文章全体が修正される。そのようにしてドゥルーズ的な襞が折り込まれる。()の最深部には空虚が閉じ込められる。すなわち語の希少性が語の創造力の源なので、根源は空虚そのものなのだ。2025/03/13
pqrs
1
物の世界の豊かさは、言葉には転写できない。言葉はその存在の本質として不足しているのだ。しかし不足しているがゆえにこそ転写の試みに意義が生まれる。そのとき、作家は、刀鍛冶のするように、言葉を、矯めに矯め、言葉と格闘することを強いられる。それは精神病理として解読することは出来ない。それをする限り、我々は人間論の世界で安眠していることになる。 2010/03/23




