内容説明
古代日本人の思想・宗教・文化や生活をいまに伝える『今昔物語集』。そこには、幽霊、鬼、水や銅の精、狐などの霊力ある動物、格の低い神など、怪異を引き起こす異界の住人たちと人間との遭遇が活き活きと描かれている。天皇・后妃・宮廷貴族、それに仕える侍や女房、さらには兵、僧侶、平安京で生活を営む庶民、地方の猟師などさまざまの階層の人間が登場し、彼らの好奇、不安、恐怖、驚愕、安堵、得意、悲哀、後悔等がかたどられる。『今昔物語集』のうち、特に興味深い怪異を語る説話を集成した「本朝付霊鬼」巻に収録される四十五の物語について、読みやすい本文と注釈・考証・分析・批評を収録。
目次
三条東の洞院の鬼殿の霊の語 第一
河原院の融の左大臣の霊を、宇陀の院見給ふ語 第二
桃園の柱の穴より指し出づる児の手、人を招く語 第三
冷泉院の東の洞院の僧都殿の霊の語 第四
冷泉院の水の精、人の形と成りて捕らへらるる語 第五
東三条の銅の精、人の形と成りて掘り出ださるる語 第六
在原の業平の中将の女、鬼に〓はるる語 第七
内裏の松原にして鬼、人の形と成りて女を〓ふ語 第八
官の朝庁に参りたる弁、鬼の為に〓はるる語 第九
仁寿殿の台代の御灯油取る物の来る語 第十
或る所の膳部、善雄伴大納言の霊を見る語 第十一
朱雀院にして餌袋の菓子を取らるる語 第十二
近江国の安義の橋の鬼、人を〓ふ語 第十三
東国より上る人、鬼に値ふ語 第十四
産女、南山科に行き、鬼に値ひて逃ぐる語 第十五
正親大夫( )、若き時鬼に値ふ語 第十六
東人、川原の院に宿りて妻を取らるる語 第十七
鬼、板と現じ人の家に来て人を殺す語 第十八
鬼、油瓶の形と現じて人を殺す語 第十九
近江国の生霊、京に来て人を殺す語 第二十〔ほか〕
著者等紹介
森正人[モリマサト]
1948年生まれ。熊本大学名誉教授、尚絅大学・尚絅大学短期大学部名誉教授。博士(文学)。専門は日本古典文学。特に古代・中世の物語および説話集(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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