内容説明
文化の結節点たる琉球においては、琉球語のみならず漢語・和語による諸種の文学作品が華ひらいた。それらは、琉球という場のもつ広がりを示す貴重な歴史資料でもある。十八世紀前半期は、琉球王府による歴史資料の編纂事業が集中し、文芸が盛んな時代であった。氏族の歴史叙述が本格的に始まり、正史や地誌の編纂も行われた。家譜と正史、地誌の叙述により、物語としての歴史が作られていく。また、それと並行して、御取合(交際・交流)の文学としての和文学も展開した。本書では、そのような時代に成立した六編の作品を取り上げ、校訂本文に注釈・現代語訳を付し、解説を加える。琉球をどのように叙述し、どう認識させようとしているのか。琉球の歴史や地誌をどのような枠組みで描こうとしているのか。琉球の歴史伝承叙述の意味づけを考える上で重要な作品を読み解く。
目次
佐銘川大ぬし由来記
周藺両姓記事
思出草
浮縄雅文集
雨夜物語/永峰和文
著者等紹介
島村幸一[シマムラコウイチ]
1954年生まれ。立正大学文学部教授。専門は琉球文学・琉球文化史
小此木敏明[オコノギトシアキ]
1977年生まれ。立正大学古書資料館専門員・立正大学非常勤講師。専門は中世・近世文学
屋良健一郎[ヤラケンイチロウ]
1983年生まれ。名桜大学国際学群上級准教授。専門は琉球史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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