内容説明
江戸時代以降、日本国内における書籍の出版点数は年々増加し、それまで読書と縁のなかった層へも、次第に書籍が行き渡るようになっていった。しかし、当時の書籍はそれほど安価でなく、蔵書として代々引き継がれていくだけの価値を有する学問的な書籍以外、たとえば娯楽的な読み物などを購入して読む人々はそう多くなかった。そのような娯楽的書籍の流通・受容を支えたのが貸本文化である。近世・近代に営業していた貸本屋の実態、また、貸本向けの書籍を出版・蔵版し、それらを卸す機能を有した貸本問屋の業態を、諸種の史料を用いて解明。「貸本問屋→貸本屋→読者」という娯楽的書籍の出版・流通・受容の全容を明らかにする意欲作。
目次
序章
第一部 貸本問屋の史的展開(江戸・大坂における貸本屋組合の成立;丁子屋平兵衛の躍進―貸本屋世話役から貸本問屋へ;中本受容と大島屋伝右衛門;大島屋伝右衛門と池田屋一統―売薬「処女香」を端緒として;黎明期の初代大川屋錠吉;赤本屋としての初代大川屋錠吉)
第二部 貸本問屋の出版書目(丁子屋平兵衛出版書目年表稿;大島屋伝右衛門出版書目年表稿;初代大川屋錠吉出版書目年表稿)
第三部 貸本文化の変容とその諸相(貸本屋の諸相;誠光堂池田屋清吉の片影;近代金沢における書籍受容と春田書店)
終章
著者等紹介
松永瑠成[マツナガリュウセイ]
1994年、千葉県生まれ。国学院大学文学部日本文学科卒業。中央大学大学院文学研究科国文学専攻博士後期課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員PDを経て、国文学研究資料館研究部特任助教。専門は近世・近代日本における出版文化、および貸本文化に関する研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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