内容説明
七世紀、遠くインドへ旅に赴き、多数の仏典・仏像を将来、仏典の漢訳により東アジアにおける仏教の基盤を作り上げた仏者、玄奘三蔵。その求法の道行はいかなるものであったのか。そして、その思想はどのように形成され、伝えられていったのか。言説・絵画作品などで玄奘はどのように語られ、描かれているのか。実像と伝承上の姿を対照することで浮かび上がる、新たな玄奘像とはどのようなものなのか。仏教学・文学・美術など多角的な視点から玄奘の、そして、玄奘にまつわる思想・言説・図像を読み解く画期的論集。
目次
第1部 玄奘の足跡と思想(『西域記』『慈恩伝』読後;旅する玄奘の思想的変遷;玄奘の求法と伝法―唯識思想を中心に;玄奘系唯識宗の異派―円測思想考;玄奘が学んだ仏教知識論(因明) ほか)
第2部 玄奘をめぐる言説・図像(玄奘訳『般若心経』の特徴―中世の神祇信仰を糸口として;玄奘の仏像請来の事績二件;敦煌文献から見た玄奘三蔵;日本密教文献にみる『深沙神王記』論考;慈恩大師基をめぐる唱導―東大寺図書館蔵『如意鈔』を中心に ほか)
著者等紹介
佐久間秀範[サクマヒデノリ]
1954年生まれ。筑波大学名誉教授。専門はインド瑜伽行唯識思想
近本謙介[チカモトケンスケ]
1964年生まれ。名古屋大学人文学研究科教授。専門は中世宗教文芸
本井牧子[モトイマキコ]
1971年生まれ。京都府立大学文学部教授。専門は日本文学(宗教文芸)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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