内容説明
2019年4月15日に発生したパリ・ノートル=ダム大司教座聖堂の大規模な火災。尖塔や屋根が燃え落ちる姿は、SNSをはじめとする各種メディアを通じて世界中の人々に大きな衝撃をもたらした。850年の歴史をもつこの大聖堂は初期ゴシック建築の傑作であると同時に、中世以降も、様々な統治権力との結びつきを保ちながらフランスの「国民的記憶」の一翼を担い続けてきた。重要な文化財、そして、宗教施設である大聖堂を空間的・社会的・精神的に「再生」させるためにはどのような方法がふさわしいのか。複数の年代にまたがる絵画作品、図面、大聖堂の写真といった豊富なビジュアル資料とともに、キリスト教神学・建築史学・西洋史学・文化財学による領域横断的なアプローチにより、「ノートル=ダム大聖堂」の歴史、その復興・再生を考察する。
目次
序章 歴史遺産と信仰空間としてのパリ・ノートル=ダム大聖堂の再建
特別寄稿 ノートル=ダムの火災のあとで(クリスチャンヌ・ウルティック(原敬子訳))
第1章 ゴシック時代の教会建築を巡る神学的理解―聖書解釈との関連から
第2章 中世における都市パリと大聖堂―シテ島東側の空間形成を中心に
第3章 大司教座聖堂としてのパリ・ノートル=ダム大聖堂の成立―近世空間における権力と聖性
第4章 パリ・ノートル=ダム大聖堂の近世におけるリノベーション
第5章 ノートル=ダム大聖堂とヴィオレ=ル=デュクの木造尖塔
第6章 近現代ヨーロッパにおけるゴシック様式大聖堂の社会史
著者等紹介
坂野正則[サカノマサノリ]
上智大学文学部史学科教授。専門は西洋史学、フランス近世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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