内容説明
塩業で栄える四川省銀城。伝統を重んじる名家九思堂の当主・李乃敬は、新興の企業家・白瑞徳と熾烈な抗争を繰り広げる。だが両家の確執の最中、白瑞徳のひとり娘が愛したのは…。国共内戦から文化大革命を経て、改革開放に至るまでの劇的な変遷を背景に、欲望、憎悪、虚無、そして愛に彩られた一族の、三世代にわたる壮大な大河小説。
著者等紹介
李鋭[リールイ]
1950年、北京生まれ。文革中は山西省の山村に下放。編集者を経て、1988年より山西省作家協会の専業作家。農民の言語を取り入れた骨太の作品で知られる。『厚土―呂梁山印象』シリーズ(1986‐88)、『無風の樹』(1995)など、その作品群には公認された歴史を個人の血の体験の集積として捉え直そうとする作家としての情念が強く感じられる。2004年フランス政府「芸術文化勲章」受章
関根謙[セキネケン]
1951年生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程修了、慶應大学文学部教授。専門は中国現代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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勉誠出版営業部
2
李鋭の『旧跡』を読了。塩業で反映した李一族の三代記。冒頭の処刑シーンからして、終幕へ向けての悲劇が提示されている。マジックリアリズムとまではいかないけど、壮大な悲喜劇で読み応えあり。2016/05/06
コカブ
0
塩業で栄える四川省銀城(モデルは四川省自貢市)では、九思堂李一族が塩業を握っていた。物語の冒頭で、1951年に李一族が反革命で処刑される。李乃之は裕福な出身ながら革命に身を投じ、共産党政権で官職につく。妻の白秋雲は、米国資本をバックに銀城で事業に乗り出した白瑞徳の娘だ。軍閥を率いる楊楚雄も登場し、民国期の銀城を駆け抜ける…。清朝のタガが外れて、新興の白氏と既存の李氏との対決が面白い。楊楚雄も銀城支配に乗り出す過程が見事だった。講談のように話が展開して読ませる。しかし、生き残った人達の文革期が悲惨だった。2012/11/02
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