内容説明
幕末から明治初期、欧米列強のインパクトは、それまでの日本の文化体系に大きな影響を与えることとなった。古代以来続いてきた和(日本)・漢(中国)をベースとした教養のあり方もまた、時代の趨勢にあわせ変容していく…和・漢・洋が並び立ち、混じり合いながら形成された、近代以降、現代まで続く教養体系の淵源を探る。
目次
序論 変容する教養―近代における“和”“漢”“洋”
1 “和”が形成する基盤(尊王攘夷論と大和魂―本居宣長から吉田松陰へ;実録から講談・歴史的読み物へ―「中山大納言物」を例に;紀行「易心後語」に見る幸田露伴の教養の根柢―古人に向きあうということ;手習塾から小学校へ)
2 “漢”はどこへ行くのか?(書における近代的教養―清朝書学との交差をめぐって;「文粋もの」における朱子学と陽明学の折衷;ポッケと修養―明治期『菜根譚』出版の後景;徳富蘇峰の思想と文体―『国民之友』創刊前後)
3 “洋”がもたらすもの(日本語と西洋との邂逅;新たな「智」の形成―福澤諭吉と慶應義塾;岩倉使節団における文化比較と翻訳―モンテスキュー著・何礼之訳『万法精理』;討論の条件―論争誌としての『明六雑誌』;内国勧業博覧会と和・漢・洋―本草学と博覧会;円朝と「西洋」―翻案作概観と「英国孝子伝」「黄薔薇」「蝦夷土産」の方法について)
著者等紹介
鈴木健一[スズキケンイチ]
1960年生まれ。学習院大学文学部教授。専門は江戸時代の文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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