内容説明
近代化による新しい文化と、伝統的なチベット文化の狭間で揺れながら生活する若者たちの「いま」を描く、チベット現代文学を代表する作家の作品集。同級生が突然高僧の転生と認定された少年の物語「ウゲンの歯」、羊飼いの少年とアメリカ人の出会いを描く「八匹の羊」、役者を探す旅に出た映画監督の放浪劇「ティメー・クンデンを探して」など、初邦訳を含む11作品を収める。
著者等紹介
ペマツェテン[ペマツェテン]
1969年、中国青海省海南チベット族自治州貴徳県(ティカ)生まれ。西北民族学院在学中に小説家デビュー。チベット語、漢語の両方で執筆し、高い評価を得ている希有な作家である。国内で多数の文学賞を受章。十年ほど前から映画制作を始め、故郷の人々の生活に深く迫り、丁寧に描き出す作風で、チベットの「今」を浮き彫りにする作品を次々と発表している。海外での評価も高く、国際映画祭での受賞歴多数
星泉[ホシイズミ]
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・准教授。専門はチベット語の文法研究
大川謙作[オオカワケンサク]
東京大学大学院総合文化研究科学術研究員。専攻は社会人類学、チベット現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまご
7
(多分)現代なのに,ちょっと昔の素朴な社会の雰囲気が強く.美しい自然と,素朴な人々と,そのなかで信仰や生活習慣がありつつ,中国との関係,現代社会との折り合いの付け方などに難しい側面があるチベット社会を切り取っている短編集でした.色々な意味で満たされなかったり失ったり,伝統が伝わらず足元が揺らぐさまは,今の日本にも通じるのかもしれません. 2014/04/02
Hisatomi Maria Gratia Yuki
1
寓話的な短編と、現代チベット人の世界を描く短編の対比がおもしろい。これを一人の作家が書いていることに驚くほど、前半と後半では作品の色合いが異なる。前半はチベットへのエキゾチズムを満たすようでありながら、後半の現代チベット人の生活世界に繋がっていることが感じられる。造本の美しさもみどころ。2017/05/04
勉誠出版営業部
0
ペマ・ツェテンの『チベット文学の現在 ティメー・クンデンを探して』を読了。中短編集。幻想的な作品もありますが、ロードムービー調の表題作(「ティメー~」)が読みどころ。読んだ感じとしては、映画『パリ、テキサス』のようにも思えました。2017/02/24
KentaroGNH
0
チベットの近代化と伝統の消滅、文明の悲鳴か聞こえる。 幻想的でとても純文学の世界。 小説としてとても面白い。2014/09/20
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- 和書
- 陪審員C-2の情事