内容説明
コーパスの活用により浮かび上がる近代日本語史の知られざる側面。新漢語の発生や言文一致の進展に代表されるように、約六〇年という短期間に書き言葉が劇的に変化した明治・大正期。この時期には活版印刷技術の普及やマスメディアの発達により、膨大な量の書き言葉の資料が出版され流通した。本書では、そのような急激な変化を内包した資料群の縮図とも言える近代雑誌のコーパスを使用して、先行研究でほとんど扱われてこなかった明治・大正期の書き言葉における一人称代名詞の体系と通時的変化について分析・考察する。一人称代名詞という言語項目の研究そのものとともに、それを果たすために、著者自らも構築に携わった近代雑誌コーパスの設計・資料特性の研究も展開。
目次
序
1 本研究で使用したコーパスと研究方法(近代雑誌コーパスの設計;一人称代名詞と使用場面属性の抽出・分類;言語量から見る近代雑誌コーパスの資料特性)
2 近代書き言葉の一人称代名詞(『明六雑誌』の一人称代名詞;『東洋学芸雑誌』の一人称代名詞;『国民之友』の一人称代名詞;『太陽』の文語体書き言葉の一人称代名詞;明治・大正期の文語体書き言葉における一人称代名詞の通時的変化;『太陽』の口語体書き言葉の一人称代名詞)
3 近代話し言葉の一人称代名詞(『太陽』の口語体会話文の一人称代名詞)
4 女性雑誌の一人称代名詞(女性雑誌の書き言葉の一人称代名詞;女性雑誌の口語体会話文の一人称代名詞)
結
著者等紹介
近藤明日子[コンドウアスコ]
1972年生まれ。専門は日本語学。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、国立国語研究所プロジェクト非常勤研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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