内容説明
中国美術の至宝にまつわるミステリー。北宋の都、開封を描いたとされる中国屈指の名画「清明上河図」。来歴、作者、描かれている情景と時代、後世に与えた影響…。その作品のすべては深遠な謎と波乱のストーリーに満ちている。鑑賞の方法から作品成立の裏側まで、知られざる名画を味わい、愉しむ。
目次
はじめに 謎に満ちた名画
第1章 奇跡の絵画、清明上河図
第2章 世界に広がった清明上河図
第3章 美食の都・開封
第4章 幸福な時代・北宋と巨大首都・開封
第5章 清明上河図を体験する
第6章 現代に生きる清明上河図
著者等紹介
野嶋剛[ノジマツヨシ]
1968年生まれ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。朝日新聞に入社後、佐賀支局、西部本社などを経て、2001年からシンガポール特派員。イラク、アフガニスタンで戦争報道を経験し、東京本社政治部記者などを経て、2007年から2010年まで台北特派員。現在、朝日新聞国際編集部次長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まーくん
66
古よりの名画、神品「清明上河図」。写本や偽物は数多あれど本物は既に失われていると信じられていたが、1950年、瀋陽で発見。清朝最後の皇帝溥儀が廃位後に紫禁城から持出し、後の満州国に渡ったらしい。北宋の都、開封を流れる汴河(運河)に架かる虹橋を中心とした街の賑わいを丹念に描く。跋文を辿ると徽宗に献上された、この名画は北宋滅亡とともに「五次入宮四次出宮」と言われる数奇な運命を重ねる。宋代は多くの文人を輩出、文化の爛熟期を迎えた。亡国の皇帝徽宗の志は美にあり政治にあらず。著者は「清明上河図」に徽宗の治世を偲ぶ。2019/10/18
yyrn
21
「清明上河図」(せいめいじょうかず)とはどんな絵なのか?何が名画なのか?という思いで読み始めたが、なるほど、世界中の美術館に写本・模本・偽本が50も納まっているのか。それだけでも価値が想像できるが、真作と言われているのは北宋時代の1120年前後に宮廷画家、張擇端(ちょうたくたん)が首都・開封(かいほう)のにぎやかな様子を描いた5mを超える絵巻で、現在は第一級国宝として北京の故宮博物院に納められているとか。確かに900年前の庶民の生活が生き生きと、かつ詳細に描かれているので歴史的・文化的価値も高いのだろう。2021/03/23
takao
2
☆北宋時代の名画らしい。2017/06/05
のぼる
2
很喜歡野嶋さん的報導文學。由於自己的專業正是宋代史,也曾到花博會場看過「會動的清明上河圖」展覽,因此對此書筆下的許多討論,格外有感觸。嚴格來說,我自認對藝術是沒什麼慧根的。比起美術館,我對博物館更有興趣。不過,我常自問自己到底是對藝術沒興趣,還是看不懂呢?如果有個好的導讀者,是否情況會有所改變?此外,「圖象證史」也是個可以討論的題目。繪畫固然可以彌補我們對某些時代的認知不足,但作品本身是否確實呈現該時代的風格特色,還是藝術性大於真實性,也是值得注意之處。有機會的話,或許該多去故宮走走吧(笑)2015/06/06
ワッピー
2
そもそもタイトルや画家の名前すらそれほど確証はなく、五入四出の来歴、内容も含め、ここまで謎があるとは・・「清明上河図」の入門編としては非常に手頃な読み物でした。後半には絵の解説もあって、宋の時代の開封の雰囲気が伝わってきます。現物もさることながら、最終章に言及されている『うごく清明上河図』もぜひ見てみたいものです。2012/01/03