学習院女子大学グローバルスタディーズ
東の妖怪・西のモンスター―想像力の文化比較

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  • サイズ A5判/ページ数 352p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784585230571
  • NDC分類 388
  • Cコード C0039

出版社内容情報

妖怪比較文化研究の最先端非実在の生き物を造形する営みの歴史は東西に共通してみられ、日本においては妖怪、西洋においてはモンスターや妖精として古くから語り継がれてきた。現代でもポップカルチャーの一端を担い、「妖怪ブーム」をもたらしている。
それぞれの文化で育まれてきた「見えないもの」の物語を通して、精神文化の差異と類似、普遍性を探る11章。

序言 徳田和夫

総論 アンキャニ怪異とマーベラス驚異の東西─妖怪・モンスター 徳田和夫

第1章 怪談と怪物
二つの「一つ家」―国芳と芳年の「安達ケ原」をめぐって 小松和彦
驚異から予言まで─西洋の怪物表象 尾形希和子

第2章 東西に照らす
妖怪・モンスターの攻略―鏡の呪力伝承を通して 徳田和夫
妖怪概念のグローバル化の試み―南フランスの妖怪を中心にして マティアス・ハイエク
本の妖怪、妖怪の本―東西の付喪神考 ケラー・キンブロー
蛇女の変容―「レイミア」と「蛇性の婬」の場合 木村恵子

第3章 思想の響き合い
平田篤胤における実在と不在をめぐる問題―特に霊魂不滅との関連で 根占献一
光るものは奇跡か妖怪か―和洋・神仏における発光するものへの好悪感覚の相違 山本陽子

第4章 東の観想
水陸斎・水陸斎図、掲鉢図からみた植物の擬人化の様相 伊藤信博
中世の妖怪―「鵺」と「土蜘蛛」の名前について 岩崎雅彦
日本のサブカルチャーにおける〈生ける屍〉の展開―ライトノベルを中心に 伊藤慎吾

索引
編集後記 徳田和夫
執筆者紹介

徳田和夫[トクダカズオ]
編集

内容説明

人類は見えない存在をイメージし、畏怖し、名づけ、象り、物語を編んできた。これらの文化営為は洋の東西を問わず、共通し、対応している。両者それぞれのイメージ表象を、文化人類学・民俗学・日本文学・美術史・思想史など多面的な視点から考察し、東西の人々の思惟の普遍性と独自性を探り出す。現代に続くエンターテインメント―マンガやアニメ、ライトノベル、ゲーム…の原点を探る!

目次

総論 怪異と驚異の東西―妖怪とモンスター
第1部 怪談と怪物(二つの「一つ家」―国芳と芳年の「安達ヶ原」をめぐって;驚異から警告まで―西洋の怪物表象)
第2部 東西に照らす(妖怪・モンスターの攻略―鏡の呪力伝承を通して;妖怪概念のグルーバル化の試み―南フランスの妖怪を中心にして;本の妖怪、妖怪の本―東西の付喪神考;蛇女の変容―「レイミア」と「蛇性の婬」の場合)
第3部 思想の響き合い(平田篤胤における実在と不在をめぐる問題―特に霊魂不滅との関連で;光るものは奇跡か妖怪か―和洋・神仏における発光するものへの好悪感覚の相違)
第4部 東の観想(水陸斎・水陸斎図、掲鉢図からみた植物の擬人化の様相;中世の妖怪―「鵺」と「土蜘蛛」の名前について;日本のサブカルチャーにおける〈生ける屍〉の展開―ライトノベルを中心に)

著者等紹介

徳田和夫[トクダカズオ]
学習院女子大学教授。専門は中世日本文学、お伽草子絵巻、民間説話学、比較文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

井月 奎(いづき けい)

42
怪異好きな学者たちの妖怪モンスター考なのです。私のようなお化け好きにはたまらない本で、満足いたしました。怪異とは我々と寄り添い存在していますので、こちら側の我々が時代により変化するように妖怪、モンスターもまた変わり、同じ要素を持ちつつも洋の東西で現れ方が違います。彼らはこちらの世とは違う闇か光を要しますので、いつもいつでも現れたりいるわけにはいかないのですが、我々が彼らに興味が津々なように彼らもまたこちらを覗いているのです。「怪を語れば怪至る」と言います。幽玄の美を見るために今夜も私はお化けと遊ぶのです。2019/01/29

Homo Rudolfensis

30
☆4.2 超常の存在に関する東西比較論集。伝説等における鏡の聖性や異界との入り口、異界そのものを表す性質などを考察するもの。仏教やキリスト教に見られる、発光現象への崇敬の念と、そうした現象を鬼火や狐火と言って不気味なものとする日本在来の感覚の違いなど、面白い論が沢山ありました。こういったテーマ論集にはありがちですが、まだ考察し始めた段階のものも多いので、第二弾が待たれます。2022/06/08

マーブル

6
妖怪。もののけ。モンスター。怪物。  呼び名は違い、詳細を比較するとまた洋の東西での違いが見えてくるのだが、この人にならざるよく分からないものとしての存在が、人の居る所どこにでも発生していることがまず興味深い。  『遠野物語』と関連本を読んでみると「異質な存在」「よく分からないもの」への畏怖から、それを「名づけ」曖昧模糊で未分化の存在から「分かち」そして「分かる」ことで安心しようとしたのか、と想像できる。2018/11/10

田中峰和

6
本書は人と人外との境界線を東西の想像力から比較する。日本では原始的な精霊信仰や物神崇拝から人以外のあらゆるものが魂をもち、霊がつくとしてきた。鶴や亀が助けた人に恩返しをする物語も多い。一方、西洋では生物学的な種の境界を越える存在を、怪物として恐れ、シャム双生児のような奇形に対してモンスターと呼ぶ残酷な一面もあった。歌舞伎や浄瑠璃にもなった旅人を殺す老婆は、人間なのか鬼なのか、その境界線は曖昧。西洋では境界線を越えたゾンビの映画化が有名だが、日本に輸入されたゾンビはアニメやライトノベルとなり、若者に人気だ。2018/10/07

Go Extreme

1
アンキャニ怪異とマーベラス驚異の東西 怪談と怪物:国芳と芳年の安達ケ原 驚異から予言まで 西洋の怪物表象 東西に照らす: 妖怪・モンスターの攻略 鏡の呪力伝承 妖怪概念のグローバル化の試み 本の妖怪、妖怪の本 東西の付喪神考 蛇女の変容 レイミアと蛇性の婬 思想の響き合い: 平田篤胤・実在と不在をめぐる問題 霊魂不滅 和洋・神仏における発光するものへの好悪感覚の相違 東の観想: 水陸斎・水陸斎図、掲鉢図からみた植物の擬人化の様相 中世の妖怪―鵺と土蜘蛛の名前 日本のサブカルチャー・生ける屍 ライトノベル2024/02/18

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