内容説明
人間にとって“暴力”とは何なのか。小規模な喧嘩から大規模な戦争まで、人類における“暴力”の多様な側面を、いかに捉えることができるのか。戦争のもつ暴力的側面とともに、それが人類史で果たしてきた「駆動力」としての一面を探る。
目次
総論(喧嘩と戦争はどこまで同じ暴力か?;戦争、紛争あるいは喧嘩についての文化人類学;牧民エートスと農民エートス―宗教民族学からみた紛争・戦闘・武器)
1 欧米(神話のなかの戦争;ケルトの戦争;スペイン内戦―兄弟殺し;アメリカのベトナム戦争)
2 中東・アフリカ(中東における部族・戦争と宗派;敗者の血統―「イラン」の伝統と智恵?;近代への深層―レバノン内戦とイスラム教に見る問題;親密な暴力、疎遠な暴力―エチオピアの山地農民マロにおける略奪婚と民族紛争)
3 南米(征服するインカ帝国―その軍事力;中央アンデスのけんか祭りと投石合戦)
4 アジア・オセアニア(東南アジアの首狩―クロイトが見た十九世紀末のトラジャ;対立こそは我が生命―パプアニューギニアエンガ人の戦争)
5 日本(すべてが戦いにあらず―考古学からみた戦い/戦争異説;戦争において神を殺し従わせる人間―日本の神話共同体が持つ身体性と認識の根源;幕末京都における新撰組―組織的権力と暴力)