内容説明
中国文学史上、最初に顕著な文学活動をした市民階層の詩人群である江湖詩人。彼らを売り出したのは都大路に店を構えた書肆の主。一商人が出版という営為を通じて、伝統詩学の新たなトレンドを生み出し、元明清三代の魁となった。彼らの影響は日本にも及んでおり、彼らの位置づけを正しく行い再評価することで、中国近世の文学史全体を大きく書き換えることができるだろう。本書を通してこの詩派の価値と内実を紹介する。
目次
1 南宋江湖詩人の位相と意義(南宋江湖詩人の生活と文学;晩唐詩と晩宋詩 ほか)
2 江湖詩人の文学世界(謁客の詩;江湖詩人の詠梅詩―花の愛好と出版文化 ほか)
3 江湖詩人と出版(陳起と書棚本;江湖詩人の詩集ができるまで―許〓(ひ)と戴復古を例として ほか)
4 宋末元初という時代(『咸淳臨安志』の編者潜説友―南宋末期臨安と士人たち;転換の現出としての劉辰翁評点 ほか)
5 日本との関わり(詩法から詩格へ―『三体詩』およびその抄物と『聯珠詩格』;近世後期詩壇と南宋詩―性霊派批判とその反応 ほか)