内容説明
朝鮮半島と日本の間に位置する国境の島、対馬。その地は古来より人と物が盛んに往来し、多様な文化交流が行われる場として重要な役割を果たした。恒居倭人による朝鮮との交流、島主・宗氏の外交・貿易、朝鮮半島からの経典請来、伝来の高麗仏や貿易陶磁などに焦点をあて、中世に朝鮮と日本の間を活発に往来した対馬の人々の活動や文物の往来、朝鮮との文化交流の諸相を文献史料のほか遺跡・出土文物から多角的に探る。
目次
1 朝鮮半島との関わり(対馬はなぜ日本なのか;対馬の防人と烽;中世の対馬と朝鮮の港町・三浦;中世対馬の外交官―十五世紀における宗氏の外交文書起草者;対馬宗氏による朝鮮からの経典請来;中世対馬における朝鮮綿布の流通と利用;十六世紀における受職人名義の朝鮮通交)
2 モノから見た中世の対馬(対馬・遺跡からみた境界領域の中世;中世対馬の陶磁器―遺跡出土の貿易陶磁と伝世品;中世博多のガラスと対馬;対馬の砥石;石塔類から見た中世・対馬の様相;対馬の仏像の諸相;対馬に伝来する朝鮮半島系の経典―高麗版(含壱岐・安国寺経)と元版)
3 中世史料と宗家文庫(対馬における古文書探訪と中世文書;「宗家御判物写」の編纂と収録文書;朝鮮史編纂委員・栢原昌三の「宗家文庫」調査;対馬に現存する宗氏の図書二点)