内容説明
「暴力」と「愛」と―「いくさ」を描く物語はなにを我々に伝えているのか。大量の血と首、首のないむくろ、切り落とされた手、切腹して折り重なる死骸。愛のために生き、そして死んでいった親子や夫婦、主従たち。『平家物語』『太平記』などに代表される「いくさ」を描いた物語は、いまなお、なぜ読まれ、語り継がれていくのか。「死」と「生」の物語のもつ魅力と意義、そして可能性をあざやかに解き明かす。
目次
第1部 いくさの表象(軍記と暴力;『平家物語』という祝祭;いくさと少年たち)
第2部 愛の表象(『平家物語』の語る愛;残された女の物語)
第3部 知の様相(慈光寺本『承久記』は嘆かない;『太平記』の「知」)
第4部 英雄の誕生(野蛮と純朴;時勢と英雄)
第5部 教室の『平家物語』(何のために?―『平家物語』群読の危うさ;『平家物語』に惚れさせない)
著者等紹介
大津雄一[オオツユウイチ]
1954年生まれ。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。博士(文学)。専門は、日本中世文学。軍記全般を対象とする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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