内容説明
「歌・物語絵屏風」だった現存最古の洛中洛外図屏風。芸術志向の近現代絵画とは異なる中世絵画の特徴をふまえ、歴博甲本に描かれた主題、注文者、そして作者を明らかにする。絵の中に巧に隠された「歌・物語」の中に、制作を命じた将軍のメッセージが残されている。
目次
序論 歴博甲本洛中洛外図屏風研究史と本書の構成
第1部 歴博甲本洛中洛外図屏風に描かれた戦国期京都について(歴博甲本洛中洛外図屏風 将軍邸近辺の空間構造;歴博甲本洛中洛外図屏風に描かれた比丘尼御所の住持)
第2部 歴博甲本洛中洛外図屏風に描かれた歌・物語絵(歴博甲本洛中洛外図屏風に描かれた歌絵;三条西邸鴬合と近衛邸の風呂;祇園会再興と足利義澄;足利義澄の観能と参内;宝鏡寺・南御所の所領と歴博甲本に描かれた白布;歴博甲本制作契機と『融通念仏縁起絵巻』)
第3部 室町後期歌絵(室町後期における歌絵享受;歌絵・物語絵の表現手法)
補論 「伊勢物語」二十三段 筒井筒について
補論 藤原重雄氏「上杉本「洛中洛外図屏風」をめぐる新説について‐行列従者・輿の理解‐」について反論
結論 歌・物語絵としての歴博甲本洛中洛外図屏風
著者等紹介
小谷量子[コタニリョウコ]
早稲田大学教育学部教育学科卒業、公立中学校教員、京都造形芸術大学大学院芸術研究科修士課程(通信教育)、日本女子大学大学院文学研究科史学専攻博士課程後期修了。博士(文学)。現在日本女子大学文学部史学科学術研究員、東京家政大学非常勤講師。専門は日本中世史・日本美術史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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