内容説明
中世を歩く。荘園とは、中世日本のあらゆる仕組みを支えた基盤的システムである。文献史料・絵画史料の博捜と徹底的な現地調査による景観復原研究を通して、列島に生きた人びとの営みを根幹から末端までとらえる。故地を歩くための現地ガイドを付し、荘園研究の面白さを余すところなく伝える決定版。
目次
荘園の景観をよみがえらせるには―本書のねらいと構成
本書で取り上げた荘園
第1部 東国―もののふの記憶(下野国足利荘 下野国足利荘の開発と交通;上野国新田荘 上野国新田荘の水田景観と新田氏;安房国柴原子郷 安房国長狭郡柴原子郷と鎌倉府 ほか)
第2部 畿内近国―領主と向き合う人々(山城国伏見荘 『看聞日記』に描かれた中世村落―山城国伏見荘の村々;大和国河上荘 地名からみる東大寺領大和国河上荘;大和国栄山寺領 大和国栄山寺領墓山と「栄山寺々中并山林絵図」―小島村との関係を中心に ほか)
第3部 西国―切り拓かれる大地(播磨国矢野荘 播磨国矢野荘における下地中分と名体制;備中国新見荘 検注帳の反復記載と開発・景観―備中国新見荘の帳簿と現地;讃岐国善通寺領 「讃岐国善通寺領絵図」調査ノート ほか)
著者等紹介
海老澤衷[エビサワタダシ]
1948年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。専門は日本古代中世荘園史研究、アジア水稲文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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六点
108
編者の海老沢衷とその弟子たちによる、退職記念論文集である。栃木の「足利荘」や群馬の「新田荘」に始まり、九州は「田染荘」に到るまで広範囲の荘園を対象に、現代における荘園研究の主要な論点を論じている。学術的にこの問題については門外漢なのだが、中世の遺跡と近現代の民俗が関係しているものがあれば面白いねと言う、素人の気楽な感想を述べるのみである。「伏見荘」や「善通寺荘」などは街歩きでブラリとしたいものであることだよ。現地ガイドが魅力的な一書でもあることであるよ。2023/02/05
吃逆堂
1
それぞれの現地ガイドがまた楽しい。2020/08/03