内容説明
パレスティナの代用聖地、プロテスタントに対するカトリックの要塞などさまざまに解釈されてきた「サクロ・モンテ」。その起源は、イスラムによるエルサレム支配以降、危険な長旅を敢行できない信徒のために導入された「代用エルサレム」にある。中世の聖地模造の伝統を受け継ぎ、北イタリアで独自の近世的形態を獲得したその歴史を明らかにする。
目次
第1章 「サクロ・モンテ」の定義と研究史(「サクロ・モンテ」の定義;イタリアのサクロ・モンテ研究史)
第2章 一五世紀以前の西欧におけるエルサレムの模造建築(キリスト教徒のエルサレム憧憬とその模造の伝統、並びにサクロ・モンテの関係;一四世紀以前のエルサレムの模造建築 ほか)
第3章 ミラノ管区ヴァラッロのサクロ・モンテ―フラ・ベルナルディーノ・カイーミの「代用エルサレム」(ヴァラッロの初期の施設に関する先行研究;最古の巡礼案内書に言及されている礼拝堂とミステーリ ほか)
第4章 トスカーナ管区サン・ヴィヴァルドのサクロ・モンテ―フラ・トンマーゾ・ダ・フィレンツェの「代用エルサレム」(レオ一〇世の返書と先行研究の問題;検討史料群と同定問題の再検討 ほか)
第5章 形態の変遷から見たイタリアのサクロ・モンテとその他の巡礼施設の展開(サクロ・モンテ降盛の背景;トレント公会議後の巡礼施設―「サクロ・モンテ」の諸類型と展開 ほか)
著者等紹介
関根浩子[セキネヒロコ]
1963年、埼玉県生まれ。崇城大学芸術学部美術学科教授。筑波大学大学院芸術学研究科博士後期課程修了後、同大学院博士特別研究員など公設・私設の研究員などを経て現職。専門は西洋美術・文化史(特にイタリア)、日本近代美術・文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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