想起する帝国―ナチス・ドイツ「記憶」の文化史

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  • サイズ B6判/ページ数 302,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784585221555
  • NDC分類 234.074
  • Cコード C1022

出版社内容情報

ナチスの愛した記憶、文化の中のナチス―ナチス・ドイツは、建築や言説、祝祭、シンボル、音楽、動物観など、様々な西洋文化を無節操に利用し、過去のイメージを想起させることで、自らの正統性を人びとに訴え、大衆操作を試みた。また現在では、ナチスやヒトラーのイメージが映画や小説で再生産され、様々な形で受容されている。
過去と現在、二つの視点から、ナチス・ドイツの文化政策と受容のあり方を探る。

はじめに―第三帝国の記憶 溝井裕一

第1部 第三帝国における「過去」の利用とその「多様性」
1.古代の「記憶」を略奪せよ―ナチス時代の建築に秘められたプログラム 溝井裕一
2.「私は総統を信じます」―キリスト教を想起させ大衆をとりこんだナチスのことば
 細川裕史
3.想起された「アーリア的自然」―古代生物復元計画          溝井裕一

第2部 「記憶の場」としての祝祭をめぐる「過去」と「現在」
4.ナチス時代の祝祭―ニュルンベルク党大会を中心に          浜本隆志
5.集合的記憶としてのワーグナー―ヒトラーによる受容とその影響   北川千香子

第3部 「現代の大衆文化」におけるナチスの「記憶」
6.人間・ヒトラーの登場―『ヒトラー―最期の12日間』 齊藤公輔
7.月面に蟠踞するドイツ第四帝国のリアリティ―反ナチス映画としての『アイアン・スカイ』          森貴史
8.『帰ってきたヒトラー』―あるいは大衆文化に居つづけるヒトラー  細川裕史

おわりに                             細川裕史

コラム? 「集合的記憶」とは何か 
コラム? ナチ流「歴史の使いかた」 
コラム? 「記憶」を巻きこむ歯車―ハーケンクロイツ 
コラム? 消えるように設計された記念碑 
コラム? 映画化される「ナチスへの抵抗」―あるいは「人としての良心」の記憶

溝井裕一[ミゾイ ユウイチ]
関西大学文学部准教授。博士(文学)。専門はドイツ民間伝承研究、西洋文化史、ひとと動物の関係史。
主な著書に、『ファウスト伝説―悪魔と魔法の西洋文化史―』(文理閣、 2009年)、『グリムと民間伝承』(編著、麻生出版、2013年)、『ヨーロッパ・ジェンダー文化論』(共編著、明石書店、2011年)、『動物園の文化史』(勉誠出版、2014年)、分担執筆に、 「ドイツの民間伝承における異界と異人」(大野寿子編『超域する異界』、勉誠出版、2013年)などがある。

細川裕史[ホソカワ ヒロフミ]
阪南大学経済学部准教授。Dr. phil.(キール大学)。専門は社会言語学、ドイツ語史。
主な著作に、"Zeitungssprache und M?ndlichkeit. Soziopragmatische Untersuchungen zur Sprache in Zeitungen um 1850."(単著、Peter Lang、2014年)、『ドイツ奇人街道』(共著、関西大学出版部、2014年)、『役割語研究の展開』(分担執筆、くろしお出版、2011年)などがある。

齊藤公輔[サイトウ コウスケ]
中京大学国際教養学部准教授。博士(文学)。専門はドイツ語圏の文化科学・文化理論およびドイツ語教育。
主な論文に、「ホロコースト証言におけるユダヤ人像とドイツ人像の変化―集合的記憶の視点から―」(『マイノリティ研究』第8号、2013年3月)、「歴史を記憶の中に位置づける」(「ドイツ文学論攷」第51号、2010年3月)、「『ヒトラー―最期の12日間』の観察―集合的記憶論の視点から―」(『独逸文学』第53号、2009年3月)などがある。

内容説明

ナチス・ドイツは、西洋で育まれた諸文化を無節操に利用し、過去のイメージを想起させることで、大衆操作を試みた。現在では、ナチスやヒトラーのイメージが映画や小説で再生産され、受容されている。過去と現在、2つの視点から、ナチス・ドイツの記憶をめぐる文化政策と、彼らの受容のあり方を探る。

目次

第1部 第三帝国における「過去」の利用とその「多様性」(古代の「記憶」を略奪せよ―ナチス時代の建築に秘められたプログラム;「私は総統を信じます」―キリスト教を想起させ大衆をとりこんだナチスのことば;絶滅動物復元計画―想起された「アーリア的自然」)
第2部 「記憶の場」としての祝祭をめぐる「過去」と「現在」(ナチス時代の祝祭―ニュルンベルク党大会を中心に;集合的記憶としてのワーグナー―ヒトラーによる受容とその影響)
第3部 「現代の大衆文化」におけるナチスの「記憶」(人間・ヒトラーの登場―『ヒトラー―最期の12日間』;月面に蟠踞するドイツ第四帝国のリアリティ―反ナチス映画としての『アイアン・スカイ』;『帰ってきたヒトラー』―あるいは大衆文化に居つづけるヒトラー)

著者等紹介

溝井裕一[ミゾイユウイチ]
関西大学文学部准教授。博士(文学)。専門はドイツ民間伝承研究、西洋文化史、ひとと動物の関係史

細川裕史[ホソカワヒロフミ]
阪南大学経済学部准教授。Dr.phil.(キール大学)。専門は社会言語学、ドイツ語史

齊藤公輔[サイトウコウスケ]
中京大学国際教養学部准教授。博士(文学)。専門はドイツ語圏の文化科学・文化理論およびドイツ語教育(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Nobuko Hashimoto

24
ナチスドイツが大衆に「想起」させて作り上げた「集合的記憶」とは。戦後、ナチスドイツやヒトラーの「記憶」はどのように「想起」されてきたか(いるか)というテーマを時系列で展開。数名の学者による論文集だが、要となるキーワードをそれぞれの章に必ず盛り込み、各章間で内容を確認、調整して編まれたことがよくわかる、流れのよい本。文章も平易にしてあり、図版も多いので、一般、初学者でもするすると読むことができる。勉強になったので詳しくはブログに記録。http://chekosan.exblog.jp/27474968/2017/10/22

BLACK無糖好き

12
日本学術振興会の助成を受けて行われた共同研究。ナチスの文化政策と戦後の受容のあり方を「集合的記憶」をキーワードに検証し、大衆誘導の手法を取り上げる。更に現代の大衆文化においてナチスがどのように「想起」されているのか考察する。特に21世紀以降、ナチスやヒトラーに関する映画や小説がサブカルチャー的な要素を強めてきた背景は興味深いものがある。悪魔のイメージのヒトラーを人間的な解釈で捉え直す時代の変化と、社会全体で共有されている精神文化の拮抗。ナチスは現代社会でも繰り返し蘇るという、社会はどう向き合うのか? 2017/03/20

スプリント

5
ナチス・ドイツが繰り広げたイメージ戦略・大衆操作の説明から始まり、戦後ナチスが崩壊したあとに生産されるナチスを想起させる媒体が意味するものについて論じています。2017/03/20

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