内容説明
日本の平城京や渤海の上京の模範となった唐の長安城のプランは、中国の伝統的な都城のイメージとは一線を画すものであった。唐・長安城のプランの淵源はどこにあり、それはいかなる意味をもつものだったのか。漢から唐にかけて、都城の設計の起点が宗廟から南郊、円丘へと移っていく過程を検証し、唐・長安城の基本設計が北魏・洛陽城に始まることを明らかにする。さらに、日本の藤原京から平城京への遷都と北魏の洛陽遷都および隋の大興城遷都との比較検討を通じて、古代東アジアにおける都城の理念を明らかにする。
目次
序論 中国古代都城史研究序説
第1章 宗廟と禁苑―中国古代都城の神聖空間
第2章 漢代の郊祀と都城の空間
第3章 「奢靡」と「狂直」―洛陽建設をめぐる魏の明帝と高堂隆
第4章 曹魏太極殿の所在について
第5章 北魏平城の鹿苑の機能とその変遷
第6章 北魏洛陽城の形成と空間配置―外郭と中軸線を中心に
第7章 中国都城史上における六朝建康城の位置づけについて
第8章 西郊から円丘へ―『文館詞林』後魏孝文帝祭円丘大赦詔に見る孝文帝の祭天儀礼
終章 古代東アジアの都城の理念―北魏洛陽城から日本平城京へ
著者等紹介
佐川英治[サガワエイジ]
岡山大学文学部卒。大阪市立大学大学院にて博士(文学)を取得。岡山大学准教授をへて、現在、東京大学大学院人文社会系研究科准教授。中国古代史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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