内容説明
平安後期に中国へ渡り、彼の地で生涯を終えた天台僧「成尋」。皇帝より要請された祈雨を成功させ、大師号を賜ったその功績は、中国で華々しく活躍した先達として、日本の数々の高僧伝において取り上げられている。しかし、中国側史料には、この一連の祈雨成功については一切語られていなかった―成尋の書き残した渡航日記『参天台五臺山記』、そして中国側史料を精査することで見えてきたものとはいったい何か…語り、語られることで交錯する異文化の諸相を立体的に捉え、文化・歴史とは何かを再考する新たな歴史学。
目次
第1章 『参天台五臺山記』と成尋祈雨
第2章 日本古代の祈雨―日本から見た成尋祈雨(一)
第3章 成尋の東密修法への関心―日本から見た成尋祈雨(二)
第4章 中国古代の祈雨―中国から見た成尋祈雨(一)
第5章 宋代の祈雨と仏教―中国から見た成尋祈雨(二)
第6章 成尋の夢と『参天台五臺山記』
第7章 成尋伝の生成と展開
著者等紹介
水口幹記[ミズグチモトキ]
立教大学文学部助教。専門は日本古代史・文化史・文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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