内容説明
“いのち”の根源的な在り方を、“個々の「生」そのもの”と“個々の生死を包摂したより大なる流れ”との出会い、すなわち時空を超える生命として捉え、インド・中国・日本の仏教や西洋哲学など、様ざまな生命観に迫る。代理母出産、地獄絵の役割など現代的な課題も視野に入れ、多角的に考察する。
目次
1 仏教の思想と生(いのち)(「大我」即「毘盧遮那」―空海の生(いのち)観
釈尊の葬儀と遺骨
大乗仏教の世界観―根源的な「生(いのち)」の展開
漢代人の生命観
代理母出産と仏教的生命観―四有思想を手がかりとして
生(いのち)についての比較思想的一考察―玉城康四郎の「形なき純粋生命」を手がかりに)
2 日本の信仰と生(いのち)(『日本霊異記』の“母の甜き乳”と『雑宝蔵経』―南方熊楠「月下氷人」に導かれて;動植物をめぐる呪いとその心性―近世における生(いのち)と民間信仰
国学者の世界認識と生と死の問題―平田篤胤を中心として
『絵本 地獄 じごく』の研究―生(いのち)の教育における地獄絵の役割
(研究ノート)3・11東日本大震災後一ヵ月における仏教各宗派の活動)