内容説明
自分を愛し、幸福を求めて快楽を味わいつくした白楽天の詩文は、古来より日本人に愛唱され続け、日本人の感性に深く浸透してきた。1200年前の詩人が放つ叡智の輝き。著者渾身の白楽天論。
目次
前編 白楽天の人生―その生きる叡智(わかいころの白居易とその詩;人生観の確立の時代―江州司馬・忠州刺史;知制話・中書舎人の時代―トップ官僚としてのアイデンティティの確立;杭州刺史への赴任―後半生の始まり ほか)
後編 白楽天の愉悦―自分を愛し、幸福を求めて(女性;友情;衣食住;動物たち;植物(草花)―「多情」について
趣味
養生
詩歌)
著者等紹介
下定雅弘[シモサダマサヒロ]
1947年、大阪市生まれ。京都大学文学部卒業、同大学大学院修了。鹿児島大学法文学部助教授、帝塚山学院大学文学部教授を経て、2004年より岡山大学文学部教授。文学博士。唐代および六朝の詩文に関する論考多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たけはる
1
「現状に満足し、ほどほどに欲望を抑える(知足)」「どんな不遇な状況でも、自分に最適の快を求め続ける」それらを凄まじい観察力とコントロールによって継続した生き方。凄いなあと憧れます。白楽天はそうしてすべてをいとおしみ、生きる喜びをうたいつづけている。うたわずにいられない。その尽きせぬ情がじわーっと詩から溢れ出していて、胸を打ちます。やっぱり好きだ。2017/01/19
茨木あき
0
私は白居易の「足るを知る」という考え方に深く共感し、なんて達観した人なんだろうと思っていました。 ですが、その達観も最初から難なくできたわけではなく、詩を通して、官僚としての栄達の道への未練と、俗世間を離れたのんびりした暮らしの中で得る幸せの間でだいぶ揺れていたことが分かりました。 左遷などもあり、なんでも思い通りにはいかない現実の中で少しずつ折り合いをつけて、自分の心が安息を得られる方法を模索していったのだと思いました。2022/11/10
読書記録(2018/10~)
0
白楽天、白居易の名前の解説から始まる丁寧な書。前半は論文を読みやすく改めて生涯を追う。特徴的なのは後半で、プライベートな面を項目別に紹介しており面白かった。衣食住だと酒とか、動物たちでは鶴や馬、音楽では琴の曲を復興したことなど、詩を介して具体的に知ることができる。2021/11/03