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内容説明
武士という名の「会社人間」が登場し、経済至上主義化とそれに伴う自然破壊が始まるなど、原初“近代”としての江戸時代。陽明学という“近代思想”で主体的自己を確立し、今日にも通じる“近代”の矛盾を真正面から批判した江戸初期の思想家熊沢蕃山を多面的に論じた快著。
目次
序 「近代」へのプロテスト
第1章 蕃山の生涯と挫折
第2章 蕃山における近代精神
第3章 蕃山の近代批判
第4章 反近代・反時代的精神
著者等紹介
大橋健二[オオハシケンジ]
昭和27年福島県生まれ。早稲田大学政経学部卒業。伊勢、奈良、奈良日日各新聞社で報道部デスク、論説委員、取締役主筆、編集局長、奈良中央新聞発行本社代表取締役を歴任
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ykshzk(虎猫図案房)
22
ここで言う近代は熊沢蕃山の生きた江戸初期だが、この時代の武士=サラリーマンであり、国土の開発や、商品を生産消費する社会の始まった時代は、今の時代に当てはまる部分も大きい。江戸という近代に抵抗した蕃山は、現代への警告と取れるメッセージも多く残している。エコロジストとしての蕃山の箇所を中心に読んだが、私の尊敬する田中正造とも縁があると知り、そしてまさか私の座右の本「私の個人主義」に書かれている漱石の「自己本位」の思想の先駆者が蕃山かもしれないとは。芋蔓式に知りたいこと読みたい本が出て来る、危険な本でした。2025/08/07
いとう・しんご
13
著者は地方紙の要職を歴任した方。蕃山の生涯や後世への影響、明治以降の様々な評価を通して、その真価を浮き彫りにしようとしています。虚無に転ずることなく、常に自己を確立しようとする蕃山の姿を「反近代」というキーワードで描こうとしていますが、在野の研究者であり続けた著者だからこその、在野の巨人=蕃山への強い敬慕に心打たれる研究書でした。2022/12/29