内容説明
混血児ゆえに13歳で追放され、流行歌にも歌われたあわれなお春。夫の赴任先の文書館でみつけたオランダ語文書をふと横にして見れば、仮名連綿体の署名があるではないか。その署名から、誇るべき日本女性が浮上してきた。お春像を一変させる発見のドラマ。
目次
1 伝説の中のお春(「じゃがたら文」とは何か;「じゃがたら文」の真偽と要点 ほか)
2 「お春の肖像」―はるかな道、ゆくといえども(お春から峯次郎吉への手紙;花の世に生まれ ほか)
3 時代背景―鎖国と混血児追放(キリスト教は何故幕府に嫌われたのか;寛永の鎖国令(混血児追放の原因) ほか)
4 伝説の検証(追放された人々;お春の家族 ほか)
著者等紹介
白石広子[シライシヒロコ]
1944年(昭和19年)、大阪に生まれる。2001年、学習院大学日本語日本文学科卒業。現在同大学大学院在学。日蘭学会会員。児童文学、シナリオの世界に身を置きつつ、二度に渡り通算8年間、インドネシアのジャカルタに住み、「じゃがたらお春」に出会う。現地及び長崎での取材、調査を通じて真実に近いお春像を追及する過程で、お春のサインのある書類や子供の洗礼書など、新出の資料を発見するに至る
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感想・レビュー
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印度 洋一郎
4
歴史や歌謡曲に名を残す「じゃがたらお春」。半ば伝説のような、この人物がオランダ領東インド(現インドネシア)に実在していた記録を丹念に調べ上げた労作。イタリア人の父と日本人の母を持つ、"ジェロニマ・ハル・シモンズ"がその実像だ。現地に残る、遺産目録や子供の洗礼記録などの書類から、悲劇の女性、というイメージに反し、東インド会社の社員というエリートと結婚して、その夫の死後は自ら貿易事業を経営していた、やり手の女性企業家でもあったらしい。著者が想像を交えて小説仕立てで記したお春の人生は、ドラマ化すれば面白そうだ。2012/09/23
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